ベテランFX投資家も驚くドル・円相場の大変動 1ドル=137~140円台後半か 田嶋智太郎
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昨年以降、円安方向へと様変わりしたドル・円為替相場。FX投資家は今後の展望をどう見ているのか。
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2022年からのドル・円と、(ユーロや豪ドルなどの)クロス円相場は、「買い方」のFX(外国為替証拠金取引)投資家には優位な展開が続いた。一般的には、金利の高いほうの通貨を買うポジションを持つとスワップポイント(取引する2通貨間の金利差相当額)が受け取れる。日銀以外の主要中央銀行が連続利上げを実施するたびにスワップポイントが増額され、非常に幸せな相場環境だった。
逆張りで「大ヤケド」
ただし、ここまで「大きく」「長い」円安トレンドが続くとは誰も想像していなかったに違いない。筆者も長くドル・円相場を見てきたが、過去10年間を振り返っても、こんなに変動が激しい時期はなかった。投資家の中には「これ以上の円安はないだろう」と考え、相場の方向性とは逆方向に推移すると期待して「逆張り」の売り(ドル売り・円買い)ポジションを構えた途端にどんどん円安が進み、思わぬ大ヤケドを負った投資家も少なくなかった。
これからは、円高への期待感が一層高まり、売り(ドル売り・円買い)から取引を始める投資家が一層増えると考えられるが、これも一筋縄ではいかない。ひとたび売りポジションを持てば、スワップポイントの支払い負担がかさんでいくため、基本的には短期で手じまいする(買い戻す)ことを余儀なくされるためだ。
こうした「ドル買い戻し」の動き自体が円安要因となり、売り方が期待する円高方向には振れにくい可能性がある。この状況下では、往々にして「売り」でも「買い」でも痛手を負う(往復ビンタをくらう)といった事態に陥りがちで、市場や投資家からは「かつてないほど手掛けにくい」との声が漏れ聞こえる。
このように、今後ドル・円相場がどうなるか見通すことは非常に難しい。ただし、米連邦準備制度理事会(FRB)…
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週刊エコノミスト
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