相続税“節税効果”が高い不動産小口化商品 リスクも注意 佐藤和基
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共有持ち分を取得する形の不動産小口化商品は、長期・計画的な相続対策の一環として利用を検討したい。
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相続税の節税対策として、「不動産小口化商品」が注目を集めている。主には収益性の高い都心部に立地する特定の不動産を対象に、小口化された共有持ち分を取得する形で投資し、共有持ち分に応じて賃料収入などを受け取る形態で、投資金額に対して相続税評価額を8割程度減らせるとする商品もある。少額から購入できるといったメリットもある半面、元本割れなどのリスクもある。
不動産小口化商品の対象不動産は、投資家単独では投資困難な都心部の一等地などの高額物件が多く、1口100万円といった単位で小口化して販売されている。不動産小口化商品には大きく「任意組合型」「匿名組合型」があるが、相続税評価のうえで節税効果があるのは任意組合型となる。いずれの商品も不動産特定共同事業法に基づく投資形態だが、不動産の所有権の有無などで違いがある。
不動産の相続税評価は、土地についてはもともと公示地価の8割の水準と低く設定されており、その土地に建つ住宅を賃貸していれば、さらに相続税評価は引き下がる。任意組合型はそうした土地や建物の共有持ち分を取得する形のため、投資金額に対して相続税評価額が大きく引き下がる。一方、匿名組合型は不動産を直接所有する匿名組合に出資するため、出資金の相続税評価は時価となり、評価額の引き下げ効果はない。
生前贈与でも利用可能
2023年度の税制改正で来年1月以降、生前贈与の相続財産への加算期間が相続開始前3年から7年に拡大されたことで、年内の駆け込み贈与を検討する人も増える中、任意組合型は生前贈与と組み合わせる節税策にも使われている。1000万円で購入した不動産小口化商品を贈与すると(相続税評価額は200万円と想定)、贈与税額は9万円となり、現金1000万円を贈与した場合の贈与税177万円に比べ大幅な節税となる。
ただし、不動産小口化商品にはリスクもある。まず、元本保証や賃料収入の保証がない点である。不動産小口化商品は一定の運用期間中に運用利益を分配し、運用期間…
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週刊エコノミスト
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