24年の再稼働予定は女川と島根のBWR2基のみ 次は見通し立たず 本橋恵一
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福島第1原発事故と同じ型の原子炉2基が来年、初めて再稼働を予定する。ただ、他の原発では地元同意の取りつけなどが進まない。
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原子力発電は二酸化炭素(CO₂)を排出しない電源として、再稼働が少しずつ進められている。国内の廃炉を除く原発33基のうち再稼働したのは12基で、2024年は東北電力女川原発2号機と中国電力島根原発2号機の2基が再稼働する見込みだ。いずれも、福島第1原発で事故を起こしたBWR(沸騰水型原子炉)で、この炉型では初の再稼働となる。しかし、他のBWRは運転再開のめどが立っていない。
女川2号機の再稼働は24年5月ごろ、島根2号機は24年8月ごろに予定されている。これまで再稼働しているのはPWR(加圧水型原子炉)のみ。BWRの再稼働がPWRに比べて遅れた理由の一つは構造上の違いにある。BWRは核燃料で直接水を沸騰させてタービンを回すため、核燃料由来の放射性物質が循環するエリアが広くなる。それゆえ、検査項目が多くなり、より厳しい管理が求められるのだ。
自治体の合意も困難
だが、この2基を除くと、再稼働の見通しは厳しい。東北電力は東通原発1号機の再稼働を、中国電力は島根3号機の運転開始を目指すことになるが、いずれも新規制基準の審査は進んでおらず、まだまだ時間がかかりそうだ。同じBWRでも、東京電力ホールディングス(HD)の柏崎刈羽原発6号機と7号機、日本原子力発電の東海第2原発の3基は、安全審査に合格しているが、再稼働の見通しが立っていない。
柏崎刈羽は、従業員のID不正使用などの問題から、原子力規制委員会による運転禁止命令が出されている。東京電力HDでは、改善措置を進めており、現状では追加検査の最終段階に入ったと報じられているが、24年に運転禁止命令が取り消されるかどうかが注目される。また、柏崎刈羽も東海第2も、地元の同意はまだ取りつけられていない。
柏崎刈羽の場合、運転禁止命令の解除などの条件が整った段階で、新潟県が再稼働の議論をすることになっているが、地域経済の原発への依存度が小さく、住民が再稼働に積極的ではないとい…
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週刊エコノミスト
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