教養・歴史

実務経験豊富な論客が、日銀の「異次元緩和」に強い警鐘鳴らす 後藤康雄

『日本銀行 我が国に迫る危機』 河村小百合著 講談社現代新書、1100円

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 日本銀行の「異次元緩和」とそれが生む財政規律の弛緩(しかん)に、シンクタンクの論客が強い警鐘を鳴らす本書は、二つの意味で印象に残る。ひとつはわが国の現実に基づく詳細な考察。経済学者による学術的な議論では、エレガントな理論モデルのシミュレーションや大量のデータに基づく統計分析が中心となる。本来、各国の制度や金融市場の実情を考慮することが不可欠なはずだが、そこまで目配りした分析は乏しい。

 著者は実務にも通じ、わが国の制度的枠組みを前提に、現実の金融市場を踏まえた分析を行う。異次元緩和への賛否を問わず、財政に対する市場の信認など金融政策を論じる上で目を背けることのできない問題提起がなされる。

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