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教養・歴史 2023年の一冊 

“日本人”“外国人”をいかに線引き? 出入国管理の形成史を敗戦直後を中心に検討 将基面貴巳

『出入国管理の社会史 戦後日本の「境界」管理』 李英美著 明石書店、4400円

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 グローバル化に伴う「ボーダーレス」な世界の到来が論じられたのは既に遠い昔。2020年初めに世界を席巻したコロナ危機で各国は国境を閉ざし、現実はボーダーレスと正反対になった。加えて、21年にはスリランカ人女性が名古屋出入国在留管理局で死亡した事件で、日本の出入国管理における外国人の人権軽視がクローズアップされた。国境の存在が強く自覚される今日、本書の登場はタイムリーである。戦後日本の出入国管理の基本方針がどのように形成されたのか、敗戦直後を中心に検討する。

 大日本帝国が崩壊した結果、「内地」へ戦地から復員したり旧植民地から引き揚げたりするなど大規模な人的移動が発生した一方で、「内地」に居住していた旧植民地出身者の法的地位は不明確になった。「日本人」と「外国人」の間の線引きをめぐって制度と実務現場は齟齬(そご)をきたしただけでなく、冷戦という国際情勢にも揺さぶられた。

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