教養・歴史

均等めざす米女性の闘争をノーベル経済学賞受賞者が活写 樋口美雄

『なぜ男女の賃金に格差があるのか 女性の生き方の経済学』 クラウディア・ゴールディン著 鹿田昌美訳 慶応義塾大学出版会、3740円

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 アメリカの「女性の均等に向けた闘争」の100年を描く本である。女性の就業、キャリア形成、結婚、出産、ケア、介護は産業・職業構造や教育制度、技術革新、社会規範、労働法制により変わる。職場の拘束時間、家族の家事参画は左右され、女性の生き方、男女間賃金格差は変化する。

 データや個々のライフストーリーを巧みに操り、100年の歴史を五つのコーホート(同時期に生まれた集団)に時代区分、違いを比較し、変化の背後にある要因を理論的に説明する。1960年代後半から70年代においてピル(経口避妊薬)が利用可能になると、妊娠のタイミングが制御可能になり、教育投資をし、高度専門職に就く女性が増えた。これにより「静かな革命」が起きた。情報技術革新は人手不足も伴って柔軟な働き方を可…

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