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教養・歴史 2023年の一冊 

すべてが破格の仏政治家クレマンソーの本格評伝 藤好陽太郎

『クレマンソー』 ミシェル・ヴィノック著 大嶋厚訳 作品社、6600円

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 本書は第一次大戦前後のフランスの窮状と、人間クレマンソーを活写した大著である。

 クレマンソーは人権派として政府を長く糾弾する。決闘に臨み、前線の塹壕(ざんごう)に飛び込み、政敵を追い詰め、「虎」と恐れられた。大戦中「死ぬのは、たいした問題ではない」と国民に奮起を促した。

 20代で英経済思想家のミルの書籍を翻訳。画家モネとは生涯の親友となり、日本美術の収集家でもあった。艶聞にも事欠かない。いくつもの顔を持つクレマンソーは人気が高く、英国のロイド・ジョージ首相は「この強烈な個性への憧れ」と絶賛した。

残り464文字(全文768文字)

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