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投資・運用 追悼

バフェット氏と64年間併走した盟友、故マンガー氏の素顔 尾藤峰男

名コンビとして知られたマンガー氏(左)とバフェット氏 Bloomberg
名コンビとして知られたマンガー氏(左)とバフェット氏 Bloomberg

 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の盟友、チャーリー・マンガー氏が2023年11月28日、99歳で死去した。投資会社バークシャー・ハサウェイの副会長として、バフェット氏とともに歩んだ軌跡を振り返る。(以下、敬称略)

 チャーリー・マンガーの突然の逝去のニュースには驚いた。この1月1日には100歳を迎え、5月の株主総会で、93歳のバフェットと100歳のマンガーが並ぶシーンを、私は楽しみにしていた。それは、バフェットのみならず、株主総会に来るすべての株主の願いだったはずだ。

 私がマンガーから学んだことは非常に多い。株式投資のみならず、良い人生を送る方法、人間のあるべき姿勢、きびしい倫理感、読書や学び続けることの重要性など、人間の根底に関わる面などだ。

5分で意気投合

 バフェットは、「人生で最も後悔していることは何か」と問われ、「もっと早くマンガーに会っていればよかったと思う」と答えた。バフェットにとって、マンガーの存在が、いかに大きかったかがよくわかる。

 バフェットがマンガーに初めて会ったのは、お互いの知り合いと一緒の食事会の席だった。そのとき、バフェット29歳。5分で意気投合する、まさにビビッときた出会いだったようだ。バフェットは、家に帰り、妻に「すごい人物にあった」と興奮気味に語ったという。それ以来64年間、お互いが盟友、パートナーとして歩んできたのである。

 マンガーの逝去に当たり、バフェットが出した公式メッセージが全てを物語っている。「チャーリーのひらめき、見識、参画がなかったら、現在のバークシャーの姿はなかった」

 世界中のバークシャー・ハサウェイの株主が、ネブラスカ州オマハに集まってくるのは、壇上に並ぶバフェットとマンガーの6時間に及ぶ掛け合い問答を楽しみにしているからだ。バフェットがしばらく話し、「チャーリー?」と振る。マンガーは時に「何も付け加えることはない(Nothing to add)」と話すのだが、これだけで聴衆はお決まりの文句だと笑う。

 マンガーは、暗号資産には辛辣(しんらつ)だった。ビットコインを「愚か、不道徳、ヘドが出る毒」と呼び、取引手数料無料の証券会社ロビンフッドを「ギャンブル場」とこき下ろした。マンガーが発する言葉は、辛辣で遠慮がない。だからこそ、真実を突いていて、心に響くのだ。その言葉のいくつかをここで紹介しよう(表2)。

 いかがだろう。ここには、投資そのものについては、あまり記されていない。しかし、これら全てが、投資の成功につながるものといってよい。マンガーが設立した運用会社は、1962年から75年まで年率19.8%の利回りを達成した。その間のニューヨークダウの利回り5%を大きく上回った。まさに、人生の生き方は、投資の成功につながるものなのだ。

投資支えた多面的視点

 ここで、マンガー独自の発想法を紹介しよう。これらは、あらゆることを学び続けることによって生み出されたものだ。

 まずは「多面的アプローチ」。投資判断は、投資理論や株価指標だけでなく、物理、化学、数学、生物、天文学、社会学、心理、文学、哲学、歴史など多面的見地から考え…

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週刊エコノミスト

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