ワシントンを驚かせたプロ2チームのホーム移転 吉村亮太
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東京都の面積の13分の1しかない首都ワシントンDC(コロンビア特別区)の人口は70万人に満たない。しかし、隣接するバージニア州とメリーランド州の郊外部分を含む人口は640万人にもおよび、米国有数の都市圏を形成している。緑が多いゆえに大都会のイメージとは程遠いが、意外なことにワシントン圏の人口規模は、ニューヨーク圏、ロサンゼルス圏、シカゴ圏、ダラス圏、ヒューストン圏に次いで全米6位を誇る。
そのことと密接な関係があるが、当地にはアメリカンフットボール、サッカー(男女)、バスケットボール(男女)、アイスホッケー、そして野球のプロチームがそろっている。だから一年を通して手軽にスポーツ観戦をすることが可能だ。個人技のレベルの高さもさることながら、観戦スタイルという意味でも米国らしい経験ができるので、開幕が待ち遠しい。
しかし、これらのうち、男子バスケとアイスホッケーのチームが、ワシントンのキャピタルワン・アリーナからバージニア側の近郊に建設予定の複合施設にホームを移すという計画をチームのオーナーと同州のグレン・ヤンキン知事がこのほど発表した。プロチームが存在していない同州としては長年の悲願ともいえる。
首都活性化の要が……
クリスマス休暇前の区庁舎に衝撃が走ったのは想像に難くない。アイスホッケーもバスケも年間41試合をホームで行うが、アリーナは2万人収容できるので、最大で160万人余りの観戦客が都度落とす収入を失うことになる。人口70万人のワシントンにしてみれば無視できない金額のはずだ。
連邦政府も一般企業も新型コロナウイルス禍ですっかり在宅勤務が定着し、ワシントンの昨年第4四半期のオフィス空室率は約2割。中心部の飲食業・小売業は撤退したままで、路面店の窓に掲げられた「入居者募集中」の看板がむなしく目立つ。ミュリエル・バウザー市長としては商業再活性化の要としてアリーナを位置づけてい…
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週刊エコノミスト
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