インタビュー「微細化の新技術で日本に好機」清水英路・経済産業省デバイス・半導体戦略室長
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「遅くて小出し」と不評だった経済産業省の半導体支援策が大きく変わろうとしている。キーパーソンに聞いた。(聞き手=浜田健太郎・編集部)
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―― 経済産業省は昨年6月に「半導体・デジタル戦略」を改定し、20年に約5兆円だった半導体売上高を15兆円に引き上げる目標を掲げた。
■日本の半導体関連製品の売り上げは世界シェアの10%。業界全体が世界的に急拡大している中で、各国以上の成長率を達成することで15%を目標に成長するのがコンセプトだ。30年に世界全体が100兆円であれば15兆円になる。野心的かつ具体的な目標数値を狙う必要があり、15兆円という金額を置いた。
―― 強化対象5分野の一つが先端ロジック。受託製造での量産を目指すラピダス社が注目されている。日本ではロジック系の微細化技術は40ナノメートル台で止まっていた。ラピダスは27年に2ナノメートルの量産を狙っているが、本当にできるのかと疑問視する声も多い。
■課題は山ほどあって、一つ一つスピード感をもって解決しないと達成できない目標だ。ロジックでは、日本はプレーナー(平坦)型のトランジスター構造の技術で高い技術を持って 40ナノメートルのロジック半導体を作っていたが、世界では高集積化に適したFinFET(フィンフェット、フィンは魚のひれ、FETは電界効果トランジスター)型という構造に移行した。それ以降、 3ナノメートルまでの半導体がフィンフェット型で作られている。2ナノメートル以細の半導体については、フィンフェット型でも難しく、GAA(ゲート・オール・アラウンド)型への構造転換が起きている。
フィンフェット型は、サムスン電子やTSMC(台湾積体電路製造)、インテルが技術向上にしのぎを削って巨額の投資を行ってきたが、特にTSMCの躍進が著しかった。GAA型は新しい構造の技術で、TSMC、サムスン、イ…
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週刊エコノミスト
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