ビットコイン「半減期」と米利下げが重なり年末にはドル建て最高値更新か 長谷川友哉
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ビットコイン価格は2021年11月に史上最高値の6万9000ドルを付けたが、今年末には10万ドルの大台も視野に入ってくるだろう。
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2023年のビットコイン(BTC)相場は、業界の不祥事で強く下げた22年から一転した。年初の1BTC=217.6万円から、599.1万円へと、実に2.7倍を超える復活劇を演じた。そして24年は特に下半期、例年の相場とは一味違うものになると見る。ビットコインが15年前に登場して以来、その特性上繰り返されてきた約4年のサイクルに、新しい変数が加わったからだ。
まず23年の復調の背景には、24年に待つ注目材料三つがあった。
一つ目は、米大手運用会社ブラックロックを筆頭とした伝統的金融機関による現物ビットコイン上場投資信託(ETF)の申請ラッシュだ。23年に申請された現物ETFは、米証券取引委員会(SEC)が指摘してきた問題をクリアする内容で、米国でのETF申請においてほぼ常勝無敗のブラックロックが参戦したとあって、米国初となる承認への期待が相場の支えとなった。
二つ目は、ビットコインのこれまでの歴史で紡がれてきた「半減期サイクル」だ。ビットコインは設計上、取引をブロックチェーンに記録(マイニング)したマイナー(発掘者)にビットコインが報酬として支払われる。その報酬が約4年に1度半減するイベントがあり、24年4月ごろに4度目の半減期を迎えるとされる。
なお、09年の誕生時の報酬は50BTCだったが、12年に25BTC、16年に12・5BTC、20年に6・25BTC、そして今回は3・125BTCとなる。こうして2140年までに発行上限(2100万枚)に達するようプログラムされており、ビットコインの価値の希薄化防止につながっている。
こういった特性から、過去の価格は半減期後に、①長期的な上昇トレンド→②長期的な下降トレンド→③値固め→④底入れ──という四つのフェーズを4年かけて繰り返しており、23年はくしくも今回のサイクルで「値固め」から「底入れ」に移るタイミングだった。よって、サイクルが再現されると想定すれば、23年は次のサイクルに入る前に安値で仕込む最後のチャンスだったということだ。
上半期は方向感欠く
最後の三つ目は、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策動向だ。22年からの急速な利上げは、23年7月以降金利は据え置かれた。11月には24年3月の利下げ開始観測も台頭した。ビットコインは「金利を生まないコモディティー(商品)」としての地位を築き始めており、利下げ観測に伴う米国債利回りの低下は相場に追い風となった。
24年初の市況は一変している。SECの承認翌日となる1月12日から取引が始まった11本の現物ビットコインETFは好調な滑り出しとなった。一方、ビットコイン相場は、ETF承認時には2年2カ月…
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週刊エコノミスト
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