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教養・歴史 上がる! 金&暗号資産

基礎から分かるビットコインQ&A 松田康生

 ビットコインはなぜここまで注目されるのか。「コロンブスの卵」的な発想の仕組みから売買方法まで、基礎を解説する。

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 Q1 ビットコインってそもそも何?

 A ビットコインとは「金融機関などの仲介者なく、インターネット上で直接受け渡しができる新しい電子マネー」で、この定義は、ビットコインを発明した謎の人物サトシ・ナカモト氏が2008年10月に書いた、ビットコインの設計図ともいえる論文の最初に記載されている。10年5月に初めてピザ代金として支払いに使用された。

「○○ペイ」などと称される従来型の電子マネーとの決定的な違いは、やり取りの記録の仕組みにある。従来型は、電子マネーの発行者が残高を記した台帳をホストコンピューターに記録して厳重に守る。ところが、ビットコインはこうしたホストコンピューターが存在せず、「ブロックチェーン」と呼ばれる台帳をネットワーク参加者全員が保存する。

 そして、ある参加者が残高をごまかそうとすれば、別の参加者が不正を指摘することで、取引の真正性を担保する仕組みになっている(図)。こうした「分散型」システムにより、特定の仲介者がいなくとも直接、参加者が相互にビットコインをやり取りすることができるようになった。

既存システムに不信

 例えば、図1でAさんからEさんへ送金する際、従来型の電子マネーでは常にホストコンピューターを経由した残高の書き換えが必要だったが、ビットコインの世界では直接、AさんからEさんへ送金することができる。そして、その送金を記録した台帳をネットワーク参加者全員が持ち合い、不正がないかを監視し合う。次の取引でも参加者全員が信用することにより、価値の保存手段として利用されるようになった。

 この発想はコロンブスの卵で、人類史上に残る画期的な発明だった。かつての遠隔地貿易では金貨を積んだ船で向かったが、それでは危ないので、数百年前に遠隔地間の決済を金融機関が仲介する仕組みが誕生した。それが、支払人と受取人が同じ銀行口座を保有して残高を振り替える方法で、その考え方は現在の決済システムもほぼ同じだ。

 ブロックチェーン技術によって、遠隔地間で直接「お金」をやり取りすることを可能にした仕組みに感銘を受けたコンピューターマニアたちが、トレーディングカード感覚でビットコインの取引を始め、今日の巨大市場が出来上がった。サトシ・ナカモト氏の最初の論文が発表された時期はリーマン・ショックの直後で、仲介者を必要とする中央集権的な金融システムに不信が募っていたタイミングに重なった。

 Q2 ブロックチェーンって、どういう仕組み?

 A ブロックチェーンとはビットコインにおける「台帳」のことだ。この台帳上に全ビットコインの残高や取引履歴が記録され、改ざんを防ぐ仕組みも備わっている。記録方法は少し特殊で、「マイナー」(掘削者)と呼ばれる記録者が、約10分ごとに取引をまとめて暗号化する。暗号化されたデータの塊(ブロック)が、取引ごとに連なっていく(鎖のようになる)ため、ブロックチェーンと呼ばれている(図2)。

 残高の水増しなど過去のある時点のデータを改ざんしようとすれば、それ以降の取引もすべて改ざんしなければならない。しかし、ブロックチェーンではデータを連ならせて参加者全員で保管しており、過去のある時点のデータが改ざんされれば、10分ごとに暗号化された結果が狂ってしまうため、改ざんされたことが参加者全員にすぐに分かるという仕組みだ。

 さらに特殊なのは、取引を暗号化してブロックチェーンに書き込むことができるのは、マイナー…

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