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SHEIN=個人輸入ECサイト 関税・消費税は16,666円まで免除 返品無料も相当数廃棄か 西間木智

国際宅配便で送られたSHEINの購入商品。送り状が重ね貼りされ、依頼主欄にはフルフィルメント(発送作業)センター名が記載されている
国際宅配便で送られたSHEINの購入商品。送り状が重ね貼りされ、依頼主欄にはフルフィルメント(発送作業)センター名が記載されている

 中華系ECサイトが低価格を実現している要因の一つには、物流や返品の仕組みもある。

>>特集「中華系格安ECの衝撃」はこちら

 中国発の格安ECサイト「SHEIN」の製品価格は、中国国内では当たり前の水準であり、競争力はない。そのため、輸出専用の事業モデルとして再定義し、成長を実現した。SHEINの事業モデルの特徴の一つに、購入者による個人輸入扱いとすることで、輸入時の関税・消費税負担をなくしていることが挙げられる。個人輸入についての法令上の定義はないため、個人輸入者向けECサイトと位置づけることができる。

 日本では輸入時の関税は、輸出国内での支払総額(図の①~⑤計)に対して課される。さらに、関税との合計額(図の①~⑥計)に対して消費税が課される。ただ、個人輸入時には課税対象の合計額が1万円以下ならば、両税は課されない。また、個人輸入の場合は商品代金の60%に対して消費税、関税を課す特例もあるため、合計金額が1万6666円(=1万円÷60%)までは税金がかからない。

 SHEINの物流は、サプライヤー→SHEINのフルフィルメント(発送作業)センター→航空ハンドリング会社またはフォワーダー(貨物利用運送業者)→中国税関→航空便または船便→日本税関→国内クーリエ(宅配)事業者→顧客、の順だ。配達方法には、国際郵便(EMS)と国際宅配便の2種類がある。国際宅配便の場合、中国のフォワーダーが中国国内と日本のクーリエ会社の問い合わせ番号を貼付している。

 試着のないECでのアパレル販売は、サイズや素材を現物で確認できないため、一定の比率で返品・交換が発生する。米国での返品率はおおむね30~50%に達し、その削減のための事業者向けサービスと返品プラットフォームが成長産業になっている。日本でも海外ファストファッションブランドが返品を無料とした際には返品率が30%程度あったものの、返品の有料化と…

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