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《東京市場》日本株の最高値更新で長期上昇相場へ 三宅一弘

 日本株は日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新した。米国ではNYダウが1930年代の大恐慌時に最高値比89%の大暴落となった。最高値の奪還までに25年を要したが、当時とは生活水準や技術革新が格段に進歩した現代で、34年かけた日本株の回復の遅さは異例である。

 米国の事例では、株価暴落とその後の低迷の主因となった大恐慌・デフレからの脱却が最高値奪回には不可欠だった。また、1966~82年の期間は、ベトナム戦争や石油危機などからNYダウは、1000ドルの壁に17年近い長期の往来相場に陥った。これを突破する原動力がインフレ退治を柱とするスタグフレーションの克服だった。両相場とも最高値更新後は逆戻りせず高値追いとなった。

 日本株がなぜ、89年高値の奪回に34年間も要したのか。第一に80年代後半の歴史的なバブルの崩壊の清算、第二に80年代末までは最良とされた「日本型システム」の解体、第三に新しい経済システム構築に多大な労力を要したからだ。さらに経済的観点からは、経済や株価の長期停滞をもたらした「デフレ」からの脱却に手間取った。

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