狙い目の米国株はこれだ! クアルコムからディズニーまで厳選10銘柄 笹木和弘
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利上げが据え置き局面となり、今秋には大統領選も控えるなど、投資環境の変化を踏まえて今後有望な米国株を選んだ。
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今年から新NISA(少額投資非課税制度)が始まった。米国株投資を新NISAの成長投資枠で検討する場合、配当金は現地で源泉徴収課税されるデメリットはあるものの、四半期配当が一般的なため、新NISAによる非課税メリットを実感できる回数が多い。また、「配当貴族」など連続増配期間の長い主要銘柄も多く、増配を通じた長期投資の果実を実感しやすいなど、米国株ならではのメリットもあるだろう。
米国株市場を巡る投資環境を振り返ると、2022年11月に「チャットGPT」がサービスを始めたことで生成AI(人工知能)の新時代が幕開けし、画像処理半導体(GPU)で市場を独占するエヌビディアなど大型ハイテク株を中心に、昨年初から株式市場が堅調に推移した。その後、昨年夏以降に米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が利上げの据え置き局面へとシフトするとともに、昨年10月下旬以降は早期利下げ観測の台頭に伴って長期金利が低下した。これにより、その他の主要米国株も株価が底入れから反転上昇する銘柄が目立ち始めた。
こうした環境の中で、今後も持続的な株価上昇や安定配当が見込めるのはどんな銘柄か。生成AI関連では、通信半導体のクアルコムとITソリューションのIBMを取り上げたい。
クアルコムの23年10~12月期決算は、スマートフォン用半導体需要回復に伴い売上高が前年同期比5%増、調整後EPS(1株当たり利益)が同16%増となった。今後は、データセンターとのデータ通信を行わずに自動車やスマホ、パソコン端末単独でAIを活用する「エッジAI」の普及が追い風となるだろう。また、IBMは法人向け生成AI「ワトソンX」の需要拡大を受け、23年10~12月期は売上高が同4%増、継続事業の調整後EPSが同5%増となった。
インフラでキャタピラー
足元で米国のインフレの伸びは鈍化しているものの、高インフレの持続で消費の鈍化傾向が見られ、食品や生活必需品以外の一般商品の購買は減少している。従来は中低所得層が主力顧客だった小売り大手ウォルマートは、高所得層も取り込んで小売りのシェアを拡大している。同社の23年11月~24年1月期決算も、売上高が同5%増、調整後EPSが同5%増と伸びた。
金融政策では現在以上の利上げはなくなったとの見通しから、高配当利回りで、かつキャッシュフロー(CF)の質が高い銘柄の優位性が高まっている。その中で注目したいのが、通信事業大手のベライゾン・コミュニケーションズだ。主力の携帯事業契約者数を伸ばしつつ、23年12月通期のフリーCF(営業CFから設備投資支出を引いた額)が前期比33%増と拡大した。今年2月27日終値における予想配当利回りは6.7%に上る。
米…
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週刊エコノミスト
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