株主還元を強化する銘柄に注目 日テレ、TBS、双日、住商など 山本伸
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配当や自社株買いを強化する上場企業が増えている。これから狙い目なのは、一段の株主還元に踏み切りそうな銘柄を見極めることだ。
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日本企業の「総還元性向」が高まっている。総還元性向とは、当期純利益に占める配当や自社株買いの比率のことで、大和総研が上場企業456社を対象に調べたところ、総還元性向の中央値は2013年度の29.4%から22年度の43.0%に高まった。総還元性向を「100%超」とする企業も同じ間、6.5%から10.1%に跳ね上がった。
総還元性向はその後も上がっている。ブルームバーグは今年2月21日、日本企業が同19日までに発表した23年度の自社株買いは取得枠ベースで総額9兆7000億円だったと自社調べの結果を伝えた。過去最高だった昨年度の8兆9000億円を上回った。
総還元性向が高まる理由にはいくつかあるが、その一つは東京証券取引所が22年4月、市場区分を再編したことだ。最上位のプライム市場に残るために株価を高く維持する必要が生じ、利益を株主に還元する姿勢を強めた企業が多い。
例えば、半導体商社の伯東は21年4月、「総還元性向を100%とする」と定めた中期経営計画を公表した。当期純利益と同額を配当払いと自社株買いに使うという意味だ。公表前日から今年2月28日にかけて同社の株価は4.7倍に膨れ上がった。同じ間の日経平均株価の上昇率35%をはるかに上回る。
三菱商事が大幅強化
東証が昨年3月、株価純資産倍率(PBR)1倍未満の上場企業に対応を求めたことで、株主還元を強めて株高を狙う該当企業が一段と増えた。道路舗装大手の世紀東急工業は同5月、総還元性向100%を公表した。株価は公表前日から今年2月28日にかけてほぼ2倍。この間の日経平均株価の上昇率は35%にすぎない。
三菱商事は今年2月6日、24年3月期の総還元性向を94%と見込むと公表した。純利益9500億円に対し、配当払い約2900億円、自社株買い約6000億円という。自社株買いを増やす方針を明らかにした23年5月の株主総会の前日に比べれば、今年2月28日時点の株価は91%も上昇している。
このように、総還元性向が高い銘柄は株価がかなり高くなっている。そこで、これから投資すべきなのは、現在の総還元性向や配当性向が低くとも、今後増やすと見込まれる銘柄だ。例えば、日本テレビホールディング…
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週刊エコノミスト
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