PBR1倍と割安な中国株 技術優位性で見極め肝要 李燕
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世界株の指数には中国株も組み込まれており、その動向を注視し続ける必要がある。
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新NISA(少額投資非課税制度)の投資法は「長期・積み立て・分散」が原則だ。中国の経済や株式市場の規模は米国に次ぐ世界2位であり、国際分散投資の観点で無視できない存在といえる。例えば、米指数算出会社MSCIが全世界の株式を対象に算出した株価指数「ACWIインベスタブル・マーケット指数」の場合、中国株の組み込み比率は3.3%で、英国株やフランス株より高い(昨年3月末現在)。
中国を巡ってはこのところ、経済成長率の鈍化や不動産不況などネガティブ材料が多い。MSCIは今年2月12日、「グローバルスタンダード指数」から中国株66銘柄を除外すると発表した。時価総額の大幅減少が背景にある。しかし、長期投資の観点に立てば、中国株の除外は避けるべきと考えられる。中国政府は持続可能な成長に向け、国を挙げて不動産市場への依存を減らし、技術立国を目指している。
世界知的所有権機関(WIPO)によれば、特許出願件数や科学技術クラスター(経済圏)の数で、中国は2022年までに米国を上回った。米政府は中国抑え込み政策を強化しているが、中国が技術力を高める時間をかえって短縮させかねないと指摘する米テック企業の経営者もいる。中国は長期的にはハイテク分野で米国と対抗できる国になる可能性がある。
利益率や純利益を重視
米企業の強みは優れたイノベーション力、コスト管理力など景気変動への抵抗力、積極的なグローバル展開が挙げられる。中国企業はこれらの点で米企業に及ばないが、米企業に追いつくことを目指す企業は多い。典型例は、電気自動車(EV)世界最大手の米テスラが脅威と感じているのは米企業でも日本企業でもなく、比亜迪(BYD)など中国勢であることだ。熾烈(しれつ)な国内競争を勝ち抜いたEVメーカーをはじめとする中国企業はここ1~2年、海外展開を積極化している。
ここ数年の景気減速を経て景気変動への抵抗力も高まっている。例えば、経営者は決算発表会で売上高より利益率や純利益を重視する姿勢を明確にするようになった。…
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週刊エコノミスト
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