著名投資家バフェット氏の失敗と成功に学ぶ 「皆が貪欲な時に恐れよ」 尾藤峰男
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世界に名をとどろかせるバフェット氏も、すべて成功したわけではない。その投資手法は、新NISAでも参考になる。
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年初に始まった新NISA(少額投資非課税制度)の「成長投資枠」は1年間で最大240万円、5年間で同1200万円の非課税投資ができる。投資信託だけでなく国内外の個別株式にも投資できることから、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の投資手法が参考になるだろう。
1930年生まれのバフェット氏は現在93歳。株式投資で目覚ましい成功とともに、数多くの失敗をしてきた。主な失敗例と成功例を取り上げよう。
最初の失敗例は11歳だった42年、新聞配達などをしてためたお金で買った米エネルギー会社のシティーズ・サービス株だ。株価はすぐに下がり、同社株を一緒に買った姉にせっつかれ、わずかな利益を手にして売却。同社株はその後、5倍に値上がりした。バフェット氏は「買い値にこだわるべきでなく、わずかな利益で売らない」を教訓としている。
バフェット氏が今も会長兼最高経営責任者(CEO)を務める米投資大手バークシャー・ハサウェイも失敗例に挙げられる。バフェット氏が65年に買収した時は紡績会社だった。株価が割安と判断して買収したが、主力の紡績事業は立ち直らなかった。結局、85年に同事業から撤退。バフェット氏は「最も失敗した投資」と振り返っている。
TSMCは早々に売却
最近も失敗例があった。バフェット氏は16~19年、米航空大手4社の株式が割安と評価して70億~80億ドル(現行レートで約1兆500億~1兆2000億円)投資した。しかし、新型コロナウイルスの感染が世界に広がった20年春、株価が急落する「コロナショック」に見舞われた。バフェット氏はその時、航空株を見切った。結果的には売却時の株価は底値だった。
その後も22年7~9月、半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に約41億ドルもの大量投資をしながら、翌年までに売却する一幕があった。バフェット氏は売却した理由を聞かれ「(地政学リスクは)考える要素の一つだった」と答えた(23年4月11日付『日本経済新聞』電子版)。巨額投資にしては売却が早すぎた。
バフェット氏はこれらの失敗を乗り越え、65年以来、バークシャー株価は米S&P500株価指数の2倍近い年率19.8%のリターンを達成している。最近の成功した投資の主なものを挙げよう。
08年、中国の電気自動車・車載電池大手、比亜迪(BYD)の経営と事業を高く評価し、2億3200万ドルを投資した。同社の株価は21年末、30倍以上に上昇した。22年からは売却し始め、現時点で当初保有した株数の60%以上を手放した。利益確定と地政学リスクを考慮した判断と見られる。
08年のリーマン・ショックの直後には大型投資2件をまとめた。米金融大手ゴールドマン・サックス…
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週刊エコノミスト
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