幸福度7位の山形県 10年で21位アップの理由とは 和田肇・編集部
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GDPではなく“幸福度”の物差しを使った日本総合研究所「幸福度ランキング」調査。意外な実像が見えてきた。
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日本総合研究所では、2012年から2年に1度、「全47都道府県幸福度ランキング」を公表している。このランキングは仕事、健康、生活など80の指標(表1)を設定し、全都道府県、政令市、中核都市それぞれを評価、順位付けするというものだ。
22年版が最新の調査結果で、順位は表2(拡大はこちら)の通りだ。10位以内に“裏日本”とも称され、ともすれば「貧しい」イメージのある日本海側の県が多くランクインしている点が注目される。右側の都道府県別GDP(県内国民総生産)のランキングで、太平洋側の大都市や工業地域が上位を占めているのと対照的だ。
日本総合研究所の松岡斉理事長は「人々が感じる幸福は、最後はあくまで主観的なもの」と前置きしたうえで、「戦後日本は経済的繁栄によって平和と幸福をもたらすとの考え方に基づき、『工業生産力モデル』の優等生として突き進んできた。特に太平洋側を中心に工業化を進めてきたのはある面、正しかったが、最新の幸福度ランキングでは、日本海側が高い結果になっている。戦後日本の発展モデルは、人々の思う幸福とは必ずしもイコールではなかったことが示唆されるのではないか」と語る。
雇用、生活、文化が充実
「幸福度ランキング」で注目される自治体が、12年の調査開始以来、毎回、順位を上げ続けている山形県だ。山形県は初回の12年版では31位だったが、以後27位、22位、10位、8位と順位を上げ続け、22年版では7位になった。
松岡氏はその要因として、「山形県は仕事(雇用)や生活(家族)、文化分野の指標が高い」と説明する。同県の仕事分野指標は、正規雇用者比率が1位、高齢者有業率は7位、インターンシップ実施率が7位と高く、これらが順位アップに影響しているという。
山形県庁みらい企画創造部の林圭一課長補佐は、「2008年のリーマン・ショック以降、県では特に雇用対策に力を入れた。具体的な数値目標を掲げた雇用創出や、正規雇用奨励のための独自の補助金上乗せ制度などだ。その成果が出ているのではないか」と話す。
一方で、教養・娯楽(サービス)支出7位、常設映画館数2位、語学教室にかける金額16位、書籍購入額17位など、文化分野の指標も高く、「職が安定する…
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週刊エコノミスト
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