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インタビュー 神田真人財務官「為替は長期的には国力を反映する」

「非常に活発だが激しい議論になっている」と語る神田真人財務官
「非常に活発だが激しい議論になっている」と語る神田真人財務官

 財務省の神田真人財務官が主催する「国際収支に関する懇談会(国際収支から見た日本経済の課題と処方箋)」が注目されている。国際収支とは、一定の期間における居住者と非居住者の間で行われたあらゆる対外経済取引(財貨、サービス、証券等の各種経済金融取引、それらに伴って生じる決済資金の流れ等)を体系的に記録した統計である。国際収支には、日本の金融・経済・産業・通商のさまざまな活動を通じた結果が凝縮されている。そこで、この懇談会では「我が国の国際収支の状況を切り口として日本経済が抱える課題を洗い出し、課題克服のための望ましい政策のあり方等について議論する」ことを目的とする。懇談会には神田財務官自らが選んだ委員がずらりと名を連ねる。日本を代表する経済学者やマーケットの第一線で活躍するエコノミストやストラテジストら総勢20人の精鋭揃いだ。3月26日に第一回目の懇談会を開き、その後数回の議論を経て6月には整理し、公表する予定だ。

(5月27日発売の「週刊エコノミスト」6月4日号に掲載)

「国際収支に関する懇談会」の狙いを神田真人財務官に聞いた。(聞き手=浜條元保/浜田健太郎・編集部)

―― なぜ今、懇談会を開催するのか。

■貿易収支の赤字基調、デジタル赤字の拡大、所得収支黒字の大幅拡大とその海外留保といったものは、わが国国際収支構造の大変容といえる。私はこれが日本の経済社会自体の変容の結果であり、統計的表現ではないかと思っていた。そうであれば、その経済社会の課題や処方箋について、国際収支の視座から捉えてみてはどうかと考えた。

経常黒字は盤石でない

―― 資源のない日本はエネルギーに加えて、競争力が劣るデジタル関連は輸入に頼る前提で、いかに稼ぐかを考えなくてはいけないのではないか。

■食料、エネルギーを海外から買えなくなると文字通り生きていけなくなる。弱い国際収支は、中長期的には為替も弱める可能性が高いから、悪いスパイラルになりかねない。現状まだそこまでいっておらず、立て直せるはずだし、これまで構造改革が遅滞していた分、他国より伸びしろは大きい貿易・サービス収支の競争力を鍛え直す。それとともに、日本が内外からの投資先として魅力的な環境にする必要がある。それは頑張れば絶対にできると思う。健全な危機感を共有した上で、みんなでニッポンの競争力、生産性を高め、活力ある国にしたい。そのために国際収支という客観的な統計を切り口にするのも面白いのではないか。微力ながら議論のファンデーションの一助となりたい。

―― 国際収支統計には、さまざまな勘定項目がある。

■経常収支自体は黒字だが、中身を見ると盤石ではない。サービス収支ではデジタルだけでなく、研究開発関連も赤字増加傾向だ。先進的分野は強力に推進すべきだが、や…

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週刊エコノミスト

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