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週刊エコノミスト Online 肥満・がん・認知症

インタビュー「肥満と肥満症は違う」横手幸太郎・日本肥満学会理事長(千葉大学学長)

 過度な「やせ願望」に医療関係者は警鐘を鳴らしている。その背景を聞いた。(聞き手=中西拓司・編集部)

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 社会環境の変化によって、肥満症は現代社会で生きる上では避けられない疾患の一つになっている。「肥満は自己責任」「運動すれば、体重管理は誰でもできる」といった考え方は成り立たず、適切な治療薬が必要になっていた。

 しかし、肥満症向けの薬はこれまで手薄だった。中枢神経に働く「サノレックス」(1992年認可)があるが、体格指数(BMI)35以上の「高度肥満症」の人が対象で、使用期間も最大3カ月と限られているためリバウンドしやすく使いづらかった。

 このほかの治療も限界があった。食事や運動療法は通常3~5%程度の減量効果だ。胃の一部を切り取って小さくする肥満外科手術は20%以上の減量効果があるが、誰でもできるわけではない。

 肥満症治療薬としては約30年ぶりの登場となったセマグルチド(商品名「ウゴービ」)は、「GLP-1受容体作動薬」というタイプの薬で、週1回の注射で平均10%程度(あるいは20%以上)減量できるとされる。「空白」だった5~20%の減量効果を期待でき、画期的な医薬品といえる。

 ウゴービは肥満症治療薬であり、「肥満」と「肥満症」との違いを明確に認識する必要がある。「肥満」とは「太っている状態」を指し、病気を意味するものではない。一方、肥満のために健康を脅かす合併症がある場合や、そのリスクが高い場合は「肥満症」と診断される。具体的には、肥満度を示すボディーマス指数(BMI)が25以上で、高血圧や脂質異常症など11種の健康障害(合併症)が一つ以上…

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