強まる中高と大学の連携 背景に少子化と探究学習シフト 安田理
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学校選びには「偏差値」「大学合格実績」「通学の便」「校風」など、多種多様な選択肢がある。最近の顕著な動向である「増加する付属校&系属校」「加速する高大連携」といった大学との関係が注目だ。
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中学受験の際に、進学校にするか付属校にするかは、学校選びの過程で最も早い時期に選択を迫られるテーマである。2017年くらいから付属校志向が高まったのは、政府の「地方創生政策」の一環で都市部の大学の入学定員の厳格化が始まったことによる。定員を守るには合格者発表数を絞るしかなく、そのため有力私大が軒並み難化。それで中学から付属校にという動きが強まった。
そのほか、大学側が「総合型選抜」「学校推薦型選抜」の募集枠を広げる方向にあることで、「一般選抜」の募集枠が年々狭くなっていることが挙げられる(表1)。中央大学、法政大学をのぞけば軒並み一般選抜枠が縮小している。
付属・系属校なぜ増える
中央大学付属横浜(前横浜山手女子)、青山学院横浜英和(前横浜英和女学院)、目黒日本大学(前日出)、青山学院大学系属浦和ルーテル学院(前浦和ルーテル学院)といった学校が近年付属、系属、準付属となっているほか、26年には日本学園が明治大学の系列校となって校名も「明治大学付属世田谷」となることが決まっている。
このほか中高と大学との関係では、23年秋には香蘭女学校から立教大学への進学推薦枠が学則定員数と同数の160人に増員されることも話題になった。学校法人順天学園と北里大学・大学院等を設置する学校法人北里研究所との法人合併(23年11月合意)、学校法人宝仙学園と順天堂大学を設置する学校法人順天堂が系属校協定を結ぶ(24年3月)など、中高と大学との結びつきが強まっている。
以上の事例のうち中高と大学とが同一の学校法人なのは中央大学付属横浜とこの先法人合併する順天学園と北里研究所だけである。名称的には「付属校」であっても学校法人は別という学校のほうが多い。付属校にすると、教職員の雇用から校舎・施設まで経営責任が伴うので、少子化が視野に入って以降は「系属校」というかたちが多くなっている。
付属校、系属校とまではいかないまでも、中高の中には「○○大学コース」というものを設けている学校がある。首都圏では麹町学園女子に「東洋大学グローバルコース」があるくらいだが、関西圏ではこうしたものが多数ある。帝塚山学院の「関学コース」、初芝橋本や育英西の「立命館コース」といった具合である。
いずれにしても将来の大学進学者の減少を見据え、下からのパイプを太くしておこうという大学側の意図と大学とつながることで生徒募集をしやすくしたいと考える中高側の思惑とがウィンウィンの関係になっているのである。
「高大連携」の利点とは
一方、進学校でも大学との連携を強める動きが近年目立っている。「高大連携」といって、名称…
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週刊エコノミスト
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