探究学習――本気の5高校 鈴木隆祐
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今の学校は「探究」という授業を設け、詰め込み型教育から脱しようと模索している。本気で実践している中学・高校を5校選んだ。
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文部科学省は2000年度から段階的に小中学校や高校の授業「総合的な学習の時間」を導入した。22年度以後の高校では「総合的な探究の時間」という名称になっている。体験や問題解決力を重視し、教科横断的で総合的な学習機会を通じて「生きる力」や他者と「協働」する姿勢を育てることが目的だ。
筆者は20年以上にわたり中学校や高校を数多く取材してきた。その経験から「探究」を本気で実践していると感じる5校を選んだ。
■大阪府立水都国際中学校・高校(大阪市)
国家戦略特区制度を活用した全国初の公設民営の中高一貫校として19年に開校した。府立校だが、専門学校などを運営する学校法人の大阪YMCAが指定管理法人として運営する。英語を母語とする教員を多数雇い、英語教育に力を入れている。
筆者の取材時、「インテグレーテッド・スタディーズ(探究学習)」の授業を受けていた中2の生徒はグループに分かれ、宇宙飛行士が月面に不時着した際の行動について考える「NASAゲーム」に取り組んでいた。
高校では英語だけでなく、数学、理科、国際的な課題を学ぶ「グローバルイシュー探究」の授業も英語で学ぶ。グローバルイシュー探究の授業では、グループごとにタブレット端末を使って伝染病について調べ、発表に備えていた。
高校は普通科や工業科などの学科に分かれるが、同高は「グローバル探究科」のみ。2年次から3コースに分かれ、その一つは海外大学の入学資格「国際バカロレア(IB)」を取得できるコースだ。
■東京都立桜修館中等教育学校(東京都目黒区)
1929(昭和4)年開校の旧制府立高校を源流とする。戦後の学制改革で高等科が東京都立大学、尋常科が「東京都立新制高校」に分離した。同高はその後、東京都立大学付属高校と改称し、06年に中高一貫の中等教育学校に転換して現校名となった。校訓「真理の探究」と、桜を図柄とする校章は府立高時代から変わらない。校名も校章に由来するという。
毎年夏と秋の2回、受検を考える小学生と保護者を招き、4年(高1)生が体験活動「ようこそ小学生」を企画・運営する。生徒が総合力を発揮する機会だ。5年次の「探究」では生徒がテーマを決めて研究し、5000字の研究論文を書き、6年次では論文の要旨を英語でまとめる。
科学に関するコンクールでの受賞例も目立つ。部活動の科学部は全国高校総合文化祭で22年度は奨励賞、23年度は化学部門最優秀賞を受賞した。
■湘南白百合学園中学・高校(神奈川県藤沢市)
イタリア・ローマに本部があるカトリック修道院が1938(昭和13)年に創立した女子校。姉妹法人が東京都の白百合女子大学や白百合学園中学・高校などの有名女子校を運営している。
湘南白百合学園高は生徒が大学教員による授業を受けるなどの「高大連携」に熱心だ。夏季休暇中にお茶の水女子大学で理科実験教室を開くほか、上智大学、北里大学、順天堂大学、東京理科大学とも連携する。そのほか、さまざまな業界で働く卒業生が経験を語る「自己探究・キャリア講座」を設け、生徒が卒業後の進路を考える機会としている。
同高は文系と理系の進路別クラス分けをしない。クラス内にそれぞれを志望する生徒が混在することで…
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週刊エコノミスト
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