投資・運用 個人株主新時代

個人投資家のリアル 年収400万でもオルカン積み立てフル活用で資産数千万円 大山弘子

子どもの教育費のためにも、賢く資産運用する(Shutterstock)
子どもの教育費のためにも、賢く資産運用する(Shutterstock)

 目的と目標を明確化し、無駄な出費を避け、無理のない金額で積み立てることが、成功への近道だ。

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 会社員など働きながら投資をしている、いわゆる一般の個人投資家たちは、どのようなことを考え、どんな投資をしているのだろうか。

 40代半ばの会社員タカシさん(仮名)の年収は、400万円と多くはない。だが、インデックス投信の積立投資を中心に投資を続け、17年間で資産総額が4000万円を超えた。サラリーマン投資家の希望の星といってもいいだろう。「子どもを育てながら、限られた資金で投資するには積立投資しかないと考えた」(タカシさん)という。

 約300万円の貯金と給料の20%、ボーナス全額、さらに副業で得た収入をストックし、それを元手に、積立投資を続けている。2023年までは「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」と課税口座を併用した。成功の秘訣(ひけつ)について、タカシさんは「とにかく続けること」と語る。

「これまでにも、リーマン・ショックやコロナショックなど、相場全体が大きく下がる局面があった。そんな時に投資するのは怖いけれど、それでも続けることが大切。『いまこそがチャンスだ』と自分を励まして、暴落時に一括投資したこともある。それが功を奏して資産が大きく増えた」(同)

 積み立てているのは、世界の株式に分散投資する「イーマクシススリム全世界株式(オールカントリー)」。現在は、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠を併用して、毎月20万円を積み立て、「なるべく早い段階で、非課税投資枠1800万円を埋めたい」という。投資を続けながら、しっかり家計管理をすることで、「海外旅行や国内旅行などのレジャーもちゃんと楽しめている」そうだ。

指数連動でリスク抑制

 30代前半の会社員リエさん(仮名)は、子どもの教育費と自分たち夫婦の老後資金を準備するために、18年からインデックス投信の積み立てを始めた。iDeCo(個人型確定拠出年金)とNISAに加え、課税口座も活用して、月額30万円(夫とリエさん2人分の金額)を、前述のタカシさんと同じ「オルカン」(オールカントリーの略、イーマクシススリム全世界株式)と、米国のS&P500指数に連動する「イーマクシススリム米国株式(S&P500)」に投資している。資産評価額は3000万円を超える。

「当面の目標は子どもの教育費の準備なので、あまりリスクを取り過ぎないよう、新NISAでもつみたて投資枠と成長投資枠を併用して、同じ投信を積み立てている。下の子どもが大学に入学したら、夫婦で老後生活を楽しめるよう、成長投資枠では高配当株やアクティブファンドにも投資して、インデックスを上回るリターンを獲得したい」(リエさん)という。

 投資で成果を上げている個人投資家に共通するのは、投資の目的と目標が明確なことだ。

 何のために、いつまでに、いくら欲しいのか、が分かっており、それを実現するための家計管理も行っている。30代前半の会社員マユさん(仮名)は、子どもが生まれるまでは、夫婦そろって「貯蓄はほぼゼロ」だった。だが、「子…

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週刊エコノミスト

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