投資・運用 個人株主新時代

株式分割122銘柄――買いやすくなった銘柄はこれだ 鈴木草太

 個人投資家層の拡大を背景に、株式分割を実施する上場企業が増えている。

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 新NISA(少額投資非課税制度)が始まった2024年は、個人投資家の存在感が強まっている。日本証券業協会によれば、今年1〜3月のNISA口座での買い付け額(証券大手5社とネット証券5社計)は、4兆6822億円(前年同期比2.9倍)に達した。うち新NISA「成長投資枠」での買い付け額は3兆8741億円(同2.9倍)で、株式の買い付け額はそのうちの6割を占め、そのほとんどが国内株(ETFやリート含む)だ。

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分割後に株価下落も

 一方、株式を分割することで、需給面の短期的な悪影響が生じるケースもある。既存の株主にとっては、分割によって保有銘柄を切り売りできるようになるからだ。このため市場では株式分割について、「発表は好材料、実施は悪材料」ともいわれている。

 実際、23年6月末を基準日に1株を25株に分割したNTT(9432)は、株価が分割実施直前の高値から1カ月強で約12%下落した(同期間の日経平均株価下落率は約3%)。また、24年3月末で1対10の分割を実施した三菱重工業(7011)も、翌4月1日の寄り付き直後に付けた高値(分割を考慮した上場来高値)をその後上回れずにいる(5月24日現在)。ただ、もちろん必ずそうなるわけではなく、23年2月末基準で1株を3株に分割したファーストリテイリング(9983)は、需給が目立って悪化することもなくその後も上昇トレンドを形成した。

 株式分割は個人の投資ハードルを下げる前向きな試みであることは間違いない。米国に目を向けると、企業の株式分割だけではなく、1株からの購入が可能なルール(日本は基本的に100株から)のおかげで、最低投資額が相対的により低く抑えられている。個人投資家の売買活性化へ向け、制度面の変革も必要になりそうだ。

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週刊エコノミスト

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