基礎から学ぶ新NISA 取引の柔軟性ではネット証券 大山弘子
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新NISAは個人投資家にとり、資産運用の起点となる制度だ。改めてその特徴を復習し、賢く活用したい。
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新NISA(少額投資非課税制度)は、資産形成を行う個人のための税制優遇制度だ。通常、株式や投資信託などの金融商品を運用した場合、運用で得た利益や配当・分配金に対して約20%の税金がかかる。例えば、利益が5万円出た場合、約1万円を納税することになるため、手元に残るのは4万円弱だ。だが、新NISA口座で運用した金融商品から得られる利益や配当・分配金は非課税になる。利益が5万円なら、それをまるまる手にできる。
新NISAには、①上場株式や公募株式投資信託、ETF(上場投資信託)などをスポット購入、または積立投資もできる「成長投資枠」②長期・積み立て・分散投資に適した、一定の条件を満たす公募投資信託やETFでの積み立て投資専用の「つみたて投資枠」がある。
1年間(1月1日〜12月31日)に利用できる非課税枠は、「成長投資枠」が240万円、「つみたて投資枠」が120万円。「成長投資枠」と「つみたて投資枠」は併用でき、両方使えば、年間360万円まで投資できる。また、非課税保有限度額は、買い付け残高ベースで1800万円だ。成長投資枠の限度額は、このうちの1200万円となっている。
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新NISA口座は、証券会社(インターネット証券、対面証券)、銀行などの金融機関で開設できる。ただし、投資できる商品は、金融機関によって異なる。銀行の場合には、「成長投資枠」で上場株式やETF、REIT(不動産投資信託)に投資することはできない。これらの商品に投資したいなら、証券会社に新NISA口座を開設する必要がある。ちなみに、インターネット証券では、成長投資枠で米国や中国などの上場株式やETFに投資できるところもある。
開設は1人1口座のみ
従来のNISAでは、非課税枠を再利用することができなかった。だが、新NISAでは、保有する商品を売却した場合、翌年以降に非課税枠が復活し、再利用できる。ただし、利用できるのは年間の非課税投資枠の範囲内になる。例えば、子どもの教育資金のために、利益が出ている商品を売却し、非課税枠に空きができたら、その枠で自分の老後資金のための投資をすることなどが考えられる。資産形成をするのであれば、新NISAを活用しないのは、「もったいな…
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週刊エコノミスト
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