投資・運用 個人株主新時代

インタビュー「健全な楽観主義で日本株に長期投資」藤野英人レオス・キャピタルワークス社長

 投資環境が様変わりした今、「ひふみ投信」を運用する藤野英人レオス・キャピタルワークス社長に、個人投資家の心構えを聞いた。(聞き手=荒木涼子/和田肇/稲留正英・編集部)

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── 一時、日経平均は4万1000円台となったが、4月には調整した。新NISA(少額投資非課税制度)も始まり、新しく株式投資を始めた人も多い。心構えは。

■株価が上がったり下がったりするのは私たちが呼吸するのと同じくらい自然なことだ。株式投資を行う上で重要なことは、健全な楽観主義を持つこと。“良いことも悪いこともいろいろあるけれど、最終的には世界は良くなる、なんとかなるさ”と思えるかが、投資家として成功する大原則と考えている。

 投資家というと「頭が切れる」「行動が早い」などのイメージを持っている人が多いが、現実は全く逆だ。「投資の神様」として有名な米投資家ウォーレン・バフェット氏はずっと持ち続けるという長期投資をしてきた人だ。

 ここ10年の日経平均から見れば、10年前に日本株を100万円分持っていたら、今ごろは300万円を超えている。ところが10年間で資産を3倍にした投資家は多くはない。多くの人は目先の値動きを考えて売り買いしているからだ。目先の相場を語ることなくどんと構えることが、結果的に金持ちになる最短距離だ。

続々出てくる経営者版“大谷翔平”

── 著書で「日経平均10万円時代が来る」と発信している。

■足元で株価が下がったのは、直前まで短期的に上がっていたからだ。急上昇したら株は下がる。一方、今後の10年間、三つの理由で日本株は有望だと思っている。

 一つ目はデフレからインフレへの転換だ。インフレは株や不動産を持っている人が資産が増える時代。株式を少しでも持っておいた方が良い。二つ目は、大企業を中心に、企業価値向上、企業の成長に対する経営者の意識改革が進んだことだ。企業は国内外から、成長して株価を上げるよう尻をたたかれ、東京証券取引所(東証)によるPBR(株価純資産倍率)を使った改革などもあり、経営者はそれに応じるようになった。加えて、14年に経済産業省より公表された、いわゆる「伊藤リポート」などでコーポレートガバナンス(企業統治)の改革も浸透してきた。

 そして三つ目が、日本にも若くて優秀な経営者が育っていることだ。大谷翔平選手や藤井聡太棋士など、従来の日本人像を覆すような若手が台頭しているが、その経営者版が続々出てくるだろう。

── 日本社会は人口減少も本格化した。新NISAで人気なのは全世界株式や米国株式という見方もある。

■もちろん米国株も良いと思う。ただし、長期…

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