国際・政治 個人株主新時代

躍進!インド株 世界株で利回りトップ級 香川睦

 高度成長期に入ったインド。長期分散投資にかなった多くの材料が存在する。

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 米国株式の4~5月にかけての調整一巡を受け、世界株式の下落に歯止めがかかりつつある中、国際分散投資先としてインド株式が注目されている。

 表で示す通り、インド市場の主要50銘柄で構成される株価指数「ニフティ50指数」の5年総収益(年率)や10年総収益(年率)は米国株価指数「S&P500」や全世界株式(MSCIオールカントリーワールドインデックス)、日経平均株価を上回った。また、米国を中心に世界株式が4月に調整した中、ニフティ50指数は4月10日に過去最高値を更新している。

 インド株式が堅調な背景には、「グローバルサウスの雄」と呼ばれる同国が「高度経済成長期」入りしていることが挙げられる。総人口(14.2億人超)は2023年に中国を上回り「世界最多」となった。加えて平均年齢が28歳と若く「生産年齢人口(15~64歳の人口)」の成長が続き、インド経済は内需中心の「人口ボーナス期」に入っている。

GDP世界3位へ

 同国のモディ首相が14年の就任以来推進してきた「モディノミクス」(構造改革)の効果も大きく、IMF(国際通貨基金)が4月に発表した「世界経済見通し」によると、インドの実質GDP(国内総生産)成長率は24年にプラス6.8%、25年もプラス6.5%と、中国(24年はプラス4.6%、25年はプラス4.1%)を上回り、主要国で最高だ。またIMFが半年ごとに改定する最新の「名目GDP長期予想(ドルベース)」では、インドの名目GDPは25年に日本を上回り「世界4位」に浮上。27年にドイツを抜き「世界3位」に躍進する見通しとなっている。

 こうした要因で、インドは労働人口増加、平均所得(収入)増加、個人消費支出を中心とする内需拡大、インフラ整備、外資企業の進出(直接投資)増加、生産性改善という好循環で高度経済成長が期待されている。再選を目指すモディ首相は23年8月、「25年後(英国からの独立後100年となる2047年)までに先進国入りを目指す」と表明した。

 加えて、「インドは世界の製造業の拠点に成長しつつある」と述べ、デジタル(IT)化や若者・女性の労働参加を促すことで、ものづくり国家を目指す「メーク・イン・インディア」と「デジタル・インディア」構想を推進している。こうした成長期待を背景に、中長期の視点でインド株式の投資魅力は続くと考えられる。

 ただし、個人がインド株式への投資を検討するにあたっては、個別銘柄のリスクや比較的高い取引コストの壁がある。そこで、具体的な投資ツールの参考例として、インド経済の成長期待に沿う投資成果を目指すインデックスファンド(ETF:上場投資信託)を紹介したい。図2は、21年初を起点(100)として「NEXT FUNDSインド株式指数・Nifty50連動型上場投信」の取引価格と日経平均の推移を比較したものだ。このETF(純資産額約617億円、管理・運用は野村アセットマネジメント)のパフォーマンスは、ニフティ50指数の堅調にインド…

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