ネット銀の資産膨張 楽天銀はコロナ禍を経て3倍超 佐々木城夛・編集部
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いまや大手地銀と肩を並べる規模に成長したネット銀行。情報開示が地銀に比べて劣るといった課題もある。
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ネット銀行の資産の膨張が止まらない。ネット銀行で規模が最大の楽天銀行は2024年3月期、単体総資産が13.5兆円に達した。2位の住信SBIネット銀行も10兆円を超え、地銀上位行と肩を並べるほどに成長。特に、新型コロナウイルス禍の中での資産の伸びが目立ち、楽天銀行は20年3月期に比べて3.3倍、auじぶん銀行は2.9倍を記録しており、地銀62行のこの間の伸び(25%)と比べても差が際立つ。
ここ最近はマンションなどの購入時の住宅ローンでも、大手住販業者から紹介される金融機関リストの上位をネット銀ばかりが占めることが多くなり、住宅ローン市場でも存在感を年々増している。主要銀行の先陣を切って住信SBIネット銀行が5月1日、変動型住宅ローン金利の基準となる短期プライムレートを、0.1%引き上げて年1.775%にすると発表し、大きな注目を集めた。
ネット銀行は業容拡大に伴い、資産の中身も多様化している。ネット銀で貸出金残高が約8兆円と最も多い住信SBIネット銀行は、個人向けが9割を占めているが、それ以外の残高も1兆円を超えている。住信SBIネット銀行に次ぐ貸出金残高の楽天銀行(4兆円)は、対面で法人に向き合う組織を手当てし、法人向けを個人向けに並ぶ収益の柱とすることを目指す方針を表明している。
ポイントで囲い込み
スマートフォン一つで操作可能なネット銀の預金については、有店舗の地銀などに比べて流出しやすいとの指摘もある半面、ポイントサービスによってむしろ強固に囲い込まれている側面もある。イオン銀行、大和ネクスト銀行、ソニー銀行を合わせたネット銀行6行のポイントサービスを見ると、このうち4行で銀行の利用に応じたポイントが付与されていた。
一方、大和ネクスト銀行にはポイントサービスがなく、ソニー銀行もANAマイル付き外貨定期預金などのサービスに限られる。ネット銀行は単独で金融事業だけを展開しているわけではなく、企業グループ内のネット金融事業を担う…
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週刊エコノミスト
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