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個人向け金融は“メガ銀+ネット証券+スマホ+ポイ活”の時代へ 高橋克英

三井住友銀行店舗に掲げられた「オリーブ」のポスター
三井住友銀行店舗に掲げられた「オリーブ」のポスター

 個人向け総合金融サービスを巡り、メガバンクやネット証券、携帯電話各社の合従連衡が激しくなっている。スマートフォンを介したワンストップサービスやポイント付与でしのぎを削っている。

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 三井住友フィナンシャルグループ(FG、同社グループを総称して「SMBCグループ」)が展開する個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」が、昨年3月のサービス開始から1年でアカウント数が230万件を超えて快走している。オリーブは、銀行や決済に加え、証券、保険など金融サービスを一つのアプリにまとめてスマートフォンで管理・利用でき、ポイントなど特典も提供する。

 オリーブはさらに今年4月、SMBCグループ各社で使え、1600万ユーザーを持つこれまでの「Vポイント」に、7000万ユーザーを持つカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループの「Tポイント」を統合した。メガバンク系のサービスでは他に類がなく、金融サービスやキャッシュレス決済を利用すればするほどVポイントがザクザクたまることでオリーブの魅力を高める作戦だ。

 オリーブはSMBCグループのデジタルリテール戦略の中枢となり、すべての金融取引のプラットフォームと位置付けられている。銀行口座は三井住友銀行(SMBC)、クレジットカードは三井住友カード、証券はSBI証券、保険は「保険ポータルサイト」を通じてライフネット生命、三井住友海上火災保険、住友生命、SBIインシュアランスグループなどと連携する、まさに「スーパーアプリ」だ。

 また、1枚のカードでキャッシュカードと、クレジットカード、デビットカード、ポイント払いの機能をアプリで切り替えできる世界初の「フレキシブルペイ」も搭載している。SMBCグループでは、5年で1200万件のオリーブアカウントの開設と三井住友カードの新規入会数500万件に加え、SMBCの年間の新規口座開設数を邦銀トップにするという野心的な目標を掲げている。

「ストア」型店舗を6割に

 オリーブを始めたSMBCグループの背景には、①国内ナンバーワンの圧倒的顧客基盤を持つ三井住友カードの存在、②システムコストや人件費などにより恒常的にもうからなくなっているマスリテール部門の抜本的な立て直し、③有人店舗戦略の見直し──などが挙げられよう。②、③に関しては、従来型の店舗からカウンターなどを廃した軽量化店舗「ストア」への移行を掲げている。

「ストア型」店舗は2025年度には全店舗の約6割に当たる250店舗にまで増やし、店舗・事務コストを280億円削減するとともに、顧客接点の拡充で来客数を増やすという。その象徴的な店舗として、今年5月にはストア型店舗の一環として、東京・渋谷の百貨店、西武渋谷店の一角にスターバックスとコワーキングスペースを併設した初の「オリーブラウンジ渋谷店」を開設している。

 なお、三井住友FGとSBIホールディングス(HD)は22年6月、包括的な資本業務提携(SMBC-SBIアライアンス)を結び、三井住友FGが796億円を出資して9.9%の株式を持つSBIの大株主となっている。SBIグループのオリーブへの参加もその一環だ。三井住友FGはグループのSMBC日興証券ではなく、ネット証券最大手であるSBI証券のプレゼンスに期待し、オリーブのメンバーに選んだ。

 オリーブ加入はSBIにとってもメリットが大きい。ライバルである楽天グループと比較して、泣き所だったクレジットカードやポイント経済圏をSMBCとのアライアンスで一気に獲得することができるからだ。SBI証券ではSMBCグループとの連携により、5年累計で証券口座を200万口座獲得、3年後にカード積立設定金額500億円を目標としている。

 そのオリーブの最大のライバルとなるのが、楽天グループだ。楽天の最大の強みは「楽天ポイント」で自社サービス内に利用者を囲い込めている点だ。楽天の会員数は現在、国内で1億人以上を超え、23年のポイント発行額は6500億円相当、02年からの累計発行ポイント額は4兆円相当に膨らんでいる(24年3月5日時点)。

「二択」になったみずほ

 特に、金融の分野では、投信積立、つみたてNISA、iDeCoが、相互にリンクしながら個人向けの資産形成サービスを形成しており、ポイント投資、クレジットカード決済など楽天グループの連携により顧客の囲い込みも進化している。楽天グループは「楽天ポイント」を軸に金融サービスを拡大してきたといえ、一層の金融サービス拡大のためにVポイントを強化するオリーブとは起点が真逆といえよう。

 なお、楽天グループの楽天証券は昨年11月、みずほFG傘下のみずほ証券が49%を出資する形で、戦略的な資本業務提携を締結した。今年4月には合弁金融仲介会社のMiRaIウェルス・パ…

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