インタビュー「空き家再販も強い低価格志向 物件はしっかり検査する」新井健資・カチタス社長
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空き家の増加が社会問題化する中、空き家の買い取り・再販を手掛けるカチタスの新井健資社長に、空き家ビジネスを取り巻く状況を聞いた。(聞き手=荒木涼子/村田晋一郎・編集部)
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── カチタスでは最近、2階部分が不要な人には2階建て住宅の2階部分をリフォームしないなど、中古住宅のリフォームを一部省略した低価格商品の導入を進めている。
■お客さまのニーズが低価格帯にシフトしていることに対応する施策だ。背景にはインフレがあり、この1~2年、生活コストが上がってきているが、中古住宅を購入する人の所得はそれほど上がっていない。例えば、アパートに住んでいる人が、今の家賃と同等の金額で住宅ローンを組めるかどうかが重要なポイントだ。
そうした金額の範囲内に販売価格を抑えるため、リフォームする範囲をフルではなく一部抑える提案もしている。もちろん、住宅の構造部の点検や修繕などベースとなるリフォームをしっかりやった上で、最低限のレベルのリフォームをいったん提案し、お客さまの要望に応じてリフォームを追加していく形になる。
── 業界大手のカチタスが低価格商品を展開すると、他社が追従して安い粗悪品が出回る懸念は?
■我々自身は宅地建物取引業者であり売り主でもあるため、低価格商品もフルリフォームの商品と同じく2年間の契約不適合責任(契約内容に適合しない時に売り主に発生する責任)を負っている。むしろ、低価格商品はリフォームをフルでやっていない分、通常の物件よりもしっかり検査している。
── 中古住宅の流通では、第三者が建物の状態を検査する「ホームインスペクション」を充実させる動きがある。
■仲介業者を経由して中古住宅を購入するのと、我々のような売り主から購入するのとでは状況が違うと思う。我々は売り主である以上、契約不適合責任を負い、検査も徹底している。必ず複数の人間が現場に行って、隅々まで検査している。ホームインスペクションは、特にCtoC(個人間取引)の仲介では意味があると思う。
CtoCで仲介業者を通じて引き渡す物件は、契約不適合責任の期間は3カ月程度が一般的なため、購…
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週刊エコノミスト
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