女性の年金 ライフスタイル別 四つのケーススタディー 井戸美枝/瀧健
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特に女性が不安を感じる老後資金について、四つのケーススタディーから現在、将来を考える。
>>特集「足りる?足りない?老後資金」はこちら
老後のお金の計画を立てる上で重要となる年金。多くの人が大切さを理解しているが、実際には「よく分からない」「複雑だから」という理由で、もらえる額を知らずにいる人が少なくない。
ここではライフスタイル別に4人の女性を設定し、もらえる年金額(2024年現在)を予測するとともに、老後資金を増やすポイントについても考えてみたい。
①独身女性(40)、会社員、年収350万円の場合
〈ライフスタイル〉
40歳の独身女性。大学卒業後、22歳から正社員の会社員として現在まで勤務。定年退職する60歳まで働き、その後は再雇用制度を使って65歳まで契約社員で働く予定だ。年収は22〜32歳は300万円、定年退職まで350万円、その後、契約社員(厚生年金に加入)として年収200万円を得るとする。
〈もらえる金額〉
毎年、誕生月に自宅に送られてくる「ねんきん定期便」を確認すると、これまでの加入実績に応じた年金額が表示されている。
既に確定している年金額は、厚生年金が年31万7000円、基礎年金が年40万8000円の計年72万5000円。今後、働き続けることで得られる厚生年金は年75万4400円、基礎年金は81万6000円の計年157万400円と見込まれる。
〈ポイント〉
独身の場合、平均的な年収の会社員でも年金だけでは老後が安心とは言いがたい。70歳まで働き、厚生年金に加入し続けることで、さらなる上積みを図ることができる。厚生年金は70歳まで加入でき、その分、年金受給額も増える。あるいは、受け取り年齢を70歳まで遅らせれば、65歳から受け取った場合の42%増(75歳受け取り開始なら84%増)となる。
②既婚女性(30)、公務員、年収450万円の場合
〈ライフスタイル〉
30歳の既婚女性。公務員の夫と共働きをしている。32歳で第1子、36歳で第2子を出産。出産の1年後にそれぞれ短時間勤務で職場復帰する。40〜60歳は通常勤務。60歳で定年後は、再雇用制度により65歳まで契約社員(厚生年金に加入)として働く。
年収は22〜25歳は300万円、25〜40歳は育児休業時をのぞいて450万円、40〜65歳は500万円とする。夫は、22〜65歳に平均年収500万円で働いたとして試算する。
〈もらえる金額〉
既に確定している年金額は、厚生年金が年17万4300円、基礎年金は年20万4000円の計年37万8300円となる。今後、働き続けることで得られる厚生年金は年111万4900円、基礎年金は年81万6000円の計年193万900円となる。なお、夫の年金額は厚生年金が年118万8000円、基礎年金が年81万6000円の計年200万4000円となる。
〈ポイント〉
夫の年金分と合わせると65歳以降の夫婦合計の年金額は月約33万円となり、フルタイムでの共働きは最強の選択肢といえる。世帯年収が高い分、教育資金などに財布のひもが緩みがちになるので、iDeCo(個人型確定拠出年金)などを使った老後資金づくりをお勧めしたい。iDeCoは掛け金が全額所得控除されたり、運用益が非課税だったりと、手厚い税制優遇を受けられるため、お得に老後資金を積み立てることができる。
③既婚女性(40)、パ…
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週刊エコノミスト
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