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経済・企業 世界&日本経済下期総予測

日本の実質賃金 8月にもプラス転換 武田淳

実質賃金がプラス転換すれば、個人消費にも弾みがつく  Bloomberg
実質賃金がプラス転換すれば、個人消費にも弾みがつく  Bloomberg

 26カ月連続でマイナスを続ける日本の実質賃金だが、高い賃上げ率となった今春闘や物価上昇の落ち着きとともに光が見えつつある。

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 日本の物価が徐々に落ち着きつつある中、物価変動の影響を除いた実質賃金は今年8月にもプラス転換すると見込まれる。高い今春闘の賃上げ率などを受けて名目賃金は上昇するが、物価上昇の影響を受けて実質賃金は今年5月まで過去最長の26カ月連続マイナスを記録し、個人消費の抑制にもつながっていた。実質賃金がプラスに転換すれば、個人消費の回復を通じて日本経済の成長にも弾みをつける。

 日本の消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)は、昨年1月の前年同月比4.2%上昇から今年1月には2.0%上昇へ鈍化したが、今年6月には2.6%上昇へ伸びを高めた。政府のガソリンや電気・ガス代への補助金による押し下げ効果が一巡し、これらの補助金が順次終了しているためである。

 物価の基調を確認するため、コアCPIからエネルギーを除いた「コアコアCPI」を見ると、直近ピークは昨年8月で4.3%だったのが、今年5月には2.1%まで低下し、6月も2.2%とコアCPIよりも落ち着いている。この間、輸入品価格の上昇一服により食料品を含む工業製品が7.1%から2.7%へ顕著に鈍化し、サービス価格は2.0%から1.7%への小幅な鈍化にとどまっている。

 サービス価格が底堅いのは、賃金上昇の転嫁が進み始めているためであろう。残業代などを含めた賃金総額は、5月に名目で前年同月比2.0%まで伸びを高めた。高い春闘賃上げ率が反映され、所定内給与(基本給)が2.1%と昨年平均の1.2%を大きく上回ったことが主因である。

 この結果、5月の実質賃金は、コアCPIで計算すれば前年同月比マイナス0.5%、賃金を基本給に限ればマイナス幅はさらに縮まる。ただし、厚生労働省が発表する実質賃金は、消費者物価の「持ち家の帰属家賃を除く総合」で計算されており、これによると5月もマイナス1.3%と大幅マイナスが続き、基本給に限ってもマイナス1.2%である。

実質で0.5%成長へ

 続く6月は…

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