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投資・運用 NISAの見直し術

米国景況予想は業界大手やプラットフォームの動向がカギ 登地孝行 

 市場コンセンサス予想は先行する経済指標に基づくが、実際の金融市場の予想では、コンセンサスと実績との差を予測することが重要となる。その際には業界の大手企業の動向を考慮する必要がある。

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 今年4月、米経済指標が市場の想定を超える堅調さを示唆したことから米長期金利が急騰し、円安も加速した。当月の状況を改めて確認すると、消費者物価指数(CPI)と小売売上高が市場の事前予想を大幅に上回る結果となったことが契機となった。賃金の伸び鈍化とそれに伴う家計貯蓄の減少を受けてCPIや小売売上高が緩やかに減速していくと見ていた市場関係者の多くが見通しや投資行動を修正したことで、米10年国債利回りは月中の指標公表後から4月末にかけて4.36%から4.68%まで急上昇し、またドル・円も151.8円から157.8円まで円安が進んだ。

 年初時点を振り返ると、日銀が金融政策正常化(政策金利引き上げ)に向かう一方で、米国でのインフレや景気の鈍化に伴って米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じると見込まれたことを背景に、エコノミストの予想としても米長期金利は低下してドル・円は円高に進むとの見方がコンセンサスであった。ただし、4月時点で見ても、日銀は3月にマイナス金利解除を実施し、FRBは政策金利を年内に引き下げるという見方が金融市場でも維持されている。日米の政策金利が縮小に向かう中で為替が円高に動いた一因として、米国でマクロ経済指標が上振れたことによってFRBの景気下支えを目的とする政策金利の引き下げ観測が後退したことがある。そのため、金融市場の予想を行う際には、金融政策の方向感を見るだけでなく、マクロ経済が市場の想定に対する振れ(市場コンセンサスと実績との差)を予想することが重要となる。

予測の確度を高める

 通常、経済指標の市場予想はマクロの先行指標を基に形成されることが多い。CPIであれば住宅価格(および家賃価格)や中古車市場などの動向が注目され、小売売上高では自動車など各業界の売上高や最近ではクレジットカード消費データなども利用される。その中で、市場が想定していない要素をマクロ経済指標の予想に取り込むにあたって注目すべき点の一つは、個別の業界大手企業やプラットフォーム企業の動向だろう。

 例えば、4月10日に公表された3月分のCPIでは、自動車保険の急騰で市場予想からの上振れ分のほとんどが説明できる。自動車保険については事故単価や件数の上昇が遅行的に反映されて大手損保が断続的な値上げを続けている中で、2月26日に自動車保険最大手のステイト・ファーム(State Farm、業界シェア約18%)がカリフォルニア州などで約20%の値上げを実施。その結果、CPIの自動車保険項目は前月比2.6%増(2月分:同0.9%増)と大幅に上昇して全体を押し上げた。

 また、4月15日に公表された3月分の小売売上高では、オンライン小売りを含む「無店舗小売り」が、3月20〜25日に実施されたEコマース最大手アマゾン(業界シェア約40%)のビッグスプリングセールを受けて、前…

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