投資・運用 NISAの見直し術

8月5日に急落したビットコインの値上がりが期待できる理由 松嶋真倫

仮想世界ではなく現実世界の経済との連動性をどこまで強めるか Bloomberg
仮想世界ではなく現実世界の経済との連動性をどこまで強めるか Bloomberg

 日本株同様に8月5日にはビットコインも急落した。だが、マクロ経済との結びつき強化を一層うかがわせ、今後は上昇の期待がかかる。

>>特集「NISAの見直し術」はこちら

 日経平均株価の8月5日の大暴落をきっかけに世界同時株安が広がり、暗号資産(仮想通貨)の代表格ビットコインも最大約15%の大幅下落を記録した。株式市場の常識で考えれば大きな下落率に見えたかもしれない。しかしビットコインは2017年以降で同等の下落率を記録した日数が20日以上あり、過去と比べればそれほどショッキングな下落ではなかった。

 その理由として、今回のビットコインの下落は、大規模なハッキングや企業破綻など暗号資産市場の事件によって起きたものではなく、金融市場の問題が波及する形で起きたことが挙げられる。日米金利差縮小に伴う急速な円高や米国の景気後退懸念、中東情勢の悪化などが重なったことでリスクオフが一気に加速し、その影響でビットコインは他のリスク資産と同様に大きく下落した。

米・英・香港でETF

 これは、投機的なものとして見られていたビットコインが、金融市場における資産クラスの一つとして、マクロ経済の動向に影響を受けやすくなっていることを示している。今では、米国や香港、英国などで次々とビットコイン現物ETF(上場投資信託)の取引がスタートし、機関投資家層を含む幅広い投資家がビットコインの市場に参入し始めている。そのため、何か事件が生じても、ビットコインは個人投資家の狼狽(ろうばい)売り一辺倒で暴落しづらくなっている。

 今後、ビットコイン市場は金融市場との連動性を一層強め、さらに価格を上昇させる可能性がある。

 特に、米資産運用大手ブラックロックが運用するビットコイン現物ETF「IBIT」は、資産運用額が歴代最速で200億ドルを突破し、年初来資金流入額では米国のETF商品全体で上位に位置している。市場が過熱しており、…

残り918文字(全文1718文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

9月24日・10月1日合併号

NISAの見直し術14 長期・分散・積み立てが原則 「金融リテラシー」を高めよう■荒木涼子16 強気 「植田ショック」から始まる大相場 日経平均は年末4万5000円へ■武者陵司18 大恐慌も 世界経済はバブルの最終局面へ  実体経済”に投資せよ■澤上篤人20 中長期目線 「金利ある世界」で潮目変化  [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事