プロに聞く注目銘柄「10年後の価値より今が割安な企業」中野晴啓・なかのアセットマネジメント社長
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4月に日本株のアクティブ投信を立ち上げた。日本の産業界の復活を促す存在を目指している。
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中野晴啓〈なかの・はるひろ〉なかのアセットマネジメント社長 1963年東京都出身。87年、西武クレジット(現クレディセゾン)入社。2006年、新たに設立された子会社のセゾン投信に移り、07年社長、20年会長。23年6月に退任し、同9月なかのアセットマネジメントを設立、現職。
今年から新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、米国株や世界株でのインデックス運用が一大ブームになっている。しかし、インデックスは数ある投資手法の一つに過ぎない。新NISAでインデックス投資を始めた人たちは、基準価額という「記号」が上がっていくことだけに興味があり、「なぜ、上がっていくのか」という理由には関心がない。だから、8月のように大きな相場の調整があった時は、慌てて売ったり、投資をやめてしまう。これでは、完全に投機と一緒だ。
投資という行為そのものに理解が深まっていくことなくして、新NISAが国家政策の目標通り、健全に普及していくことにはならない。そうした意味で、個別株の「価値」に注目するアクティブ投資を理解することはとても大切だ。
当社が今年4月から運用を開始した日本株のアクティブ投信「なかの日本成長ファンド」は、10年目線で長期投資をしていくのが特徴だ。これまで長期投資をうたうファンドでもせいぜい5年目線だった。将来見通しを科学的に裏付けられる一番長い期間の限度は5年とされていたためだ。しかし、我々は5年で投資をやめるつもりはないから、そこからさらに引き延ばし、10年後にはその会社の状況やビジネスがどうなっているのか、能動的な期待も含めて、株価算定のベースとすることにした。
「クオリティー・グロース」
投資対象は、「クオリティー・グロース」銘柄だ。これから先、長期にわたって安定して事業が伸び、利益を拡大させていくことに対して確信度が高い企業を指す。具体的には、すでにしっかりとした市場を持ち、マクロ経済の中において、ビジネスそのものに需要拡大の期待があるなど、複合的な観点を組み合わせる。
「グロース(成長株)」というと小型株を思い浮かべる人が多いが、むしろ、事業基盤を確立している時価総額の大きな大企業を中心に投資していく。
このファンドで野心的に実現したいのは、日本の産業界の再発展だ。産業界の再起に影響力を及ぼすファンドにしたい。だから、日本を代表する日本株のアクティブファンドに育て上げたいと考えている。
ファンドでは、王道のボトムアップリサーチを行ってい…
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週刊エコノミスト
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