投資・運用 いまこそ始める日本株

元証券アナリストが独立後に始めた配当狙いの買い増し投資とは 鈴木孝之

 あのバフェットが後追い。元流通トップアナリストが投資の極意を伝授する。

>>特集「いまこそ始める日本株」はこちら

 筆者は流通業界担当の証券アナリストとして14年間仕事をした。本格的に株式投資を始めたのはメリルリンチ日本証券(現BofA証券)退職後の2003年ごろ。アナリストから投資家へ転身した格好だ。結論からいうと、現役時代を優に上回る収入を株式投資から得ている。

 投資を始めた頃に資金を振り向けたのは、イオン、ニトリ、クリエイトSD、サンドラッグ、ツルハ、クスリのアオキなどの小売り銘柄が中心だった。メリルリンチ退職後に独立し、講演などを行うかたわら複数の企業で社外取締役を務めた。退職金や独立後に得た収入を株式投資の資金に振り向けた。筆者は物欲がなく車も所有していない。多忙を極めたアナリスト時代はカネを使う時間もなかったので、ある程度まとまった資金を株式に投じることができた。メリル退職から10年後、資金のサイズが大きくなったタイミングで、一部の保有株を残して大部分を三菱商事、伊藤忠商事、三井物産の3大商社の株式に移した。14年1月のことだ。その後3社の株価上昇は図の通りである。おおむね4~6倍に上昇し、「鈴木ファンド」の規模も大きくなった。

 ただ、筆者の狙いはキャピタルゲインではない。現役引退後の生活基盤を支えるインカムゲインを確保することが主眼だ。着目したのは3大商社の配当利回りの高さである。14年当時は、3社の配当利回りはいずれも税込みで3%台に乗っていた数少ないセクターだった。ゼロ金利において魅力的な投資先だった。3社ともに、業績成長とともに近年では増配もしくは配当額を維持する「累進配当政策」を採用していることも魅力的だ。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が20年8月末、3社に住友商事と丸紅を加えた5大商社に投資したことで、総合商社への注目が一気に高まったことは周知の通りである。

 筆者の投資方針を要約すると「資産形成」「中長期保有」「3年で2倍以上の目標」の3点。売りは非常に少ない。買い増しによって「雪だるま式」に持ち株を増やして、資産拡大につなげていく。資金の…

残り652文字(全文1552文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月8日号

いまこそ始める日本株第1部18 金利復活で「バリュー株」に妙味 高配当株や内需株が選択肢に■中西拓司21 「雪だるま式」に増やす 配当重視で3大商社に投資 株式で現役時代上回る収入に■鈴木孝之22 プロに聞く 藤野英人 レオス・キャピタルワークス社長「銘柄選びは身近なところから学び得るのも投資の醍醐 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事