プロに聞く注目銘柄「学びを得られる身近な企業」藤野英人・レオス・キャピタルワークス社長
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日本の代表的な成長株ファンド「ひふみ投信」の運用責任者を務めるレオス・キャピタルワークスの藤野英人社長が、お宝銘柄の探し方を伝授する。(構成=稲留正英・編集部)
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藤野英人〈ふじの・ひでと〉レオス・キャピタルワークス社長 1966年富山県出身。野村投資顧問(現野村アセットマネジメント)、ジャーディン・フレミング(現JPモルガン・アセット・マネジメント)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを経て、2003年レオス・キャピタルワークス創業。
ひふみ投信は、昨年くらいからより長期の目線で投資する方針にした。その理由はAI(人工知能)の普及だ。AIの進歩は非常に速く、短期的な投資は、今後数年以内にAIの自動売買に置き換わる可能性がある。そこで、投資における人間の役割を考えると、未来を「予測する」ことではなく、未来を「創る」ことに重点が置かれることになる。つまり、より長い目線で経営陣と価値観を共有するなど、「エンゲージメント」の要素が大切になってくる。我々が、「10年目線で投資をする」と言っているのはそのような背景がある。
では、どのような会社に投資をするかというと、奇をてらったところはない。まずは、成長ポテンシャルがある企業に投資する。そこでは、その企業の置かれている市場の成長性と、その中での競争優位性がポイントだ。成長はしないが、配当が高いという企業にも投資は可能だが、我々はできるだけ、「成長」に投資していきたい。
3年間の売上成長率を見る
成長を語るうえで売上高の成長率はとても大事だ。3年間の成長率に注目したい。時価総額1000億円以下の中小型企業だと、年率の売上高成長率は2ケタを超えることが望ましい。逆に時価総額で1兆円を超える大企業だと年5〜8%くらいで十分だ。ただ、その場合でも、売り上げの成長を上回る利益成長があることが望まれる。
二つ目のポイントだが、これから金利が上昇する局面になるので、財務基盤の強さも重要だ。収益性、キャッシュフローに加え、負債の少なさが注目されてくる。三つ目は、株主還元だ。配当の安定性、増配や自社株買いなど、株主に報いるという企業経営者の気持ちはすごく重要だ。
四つ目に大事なのが、経営者の質だ。実効性のある経営ビジョンを持ち、かつ、経営の透明性を担保している、きちんと情報開示をしている優良企業に投資をしていくことが基本となる。
投資を始めたばかりの個人投資家には、例え3銘柄でもなるべく違う業種に投資することを勧める。一例を挙げると、消費関連と電機、それから製造業でも素材関連を組み合わせる。業種をバラバラにすることによって、3銘柄でも分散効果が得られる。
自分に身近な商品・サービスを提供している会社や、自分が関心を持つ会社に投資することはとても大事だ。例えば、今、AI市場が伸びているということで、米エヌビディアに投資するのは悪くないが、それなら、実際に生成AIを自分で使ってほしい。自分で使わなければ、そこから学びを得ようがないからだ。
理解できるものに投資する
原則は理解できるものに投…
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週刊エコノミスト
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