プロに聞く注目銘柄「30年先も輝き続ける企業」伊井哲朗・コモンズ投信社長
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コモンズ投信の伊井哲朗社長によると、同社は「真のグローバル企業」を中心に30銘柄を厳選し、企業との対話をベースにした長期投資を目指している。(聞き手・構成=中西拓司/稲留正英・編集部)
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伊井哲朗〈いい・てつろう〉コモンズ投信社長 1960年愛知県出身。84年に山一証券入社。メリルリンチ日本証券などを経て、2007年コモンズ投信創業とともに現職。12年から最高運用責任者(CIO)を兼務。23年6月投資信託協会理事に就任。
日本人と米国人の投資家で、どちらが金融リテラシーが高いか──。日本人からみれば米国人の方が金融や経済の知識や判断力を備えているように考えがちだが、自分の経験からいえば、実はほとんど変わらない。唯一異なるのは「慣れ」だ。
米国人は1980年代から投資信託の積み立てを始めている。ブラックマンデー(87年)や、00年前後のドットコムバブル(ITバブル)崩壊、01年の米同時多発テロや08年のリーマン・ショック、20年以降の新型コロナ禍などを経験し、投資の中では暴落局面はいくらでもあり、積み立て投資を続けていれば一時的な下落を吸収できることを体感している。
一方、日本人は米国人ほど投資に慣れていないようだ。今年夏以降の株価の乱高下では、初心者にとっては動揺する場面もあったが、投資を根付かせるためには、こうしたショックを何回か経験することも必要かもしれない。
では投資を続けるためにはどうしたらいいのか。二つあると考えている。一つ目は、投資に関する適切なアドバイザーが必要だということだ。下落局面で投資をやめたくなった時、毎月一定額を投資する「ドルコスト平均法」の強みや、下げ相場こそいい銘柄が安く買えるといった助言があるかないかは非常に大きい。
投資で必要な「共感」
もう一つは、投資に関して「自分で共感すること」も大切だ。「オルカン(オール・カントリー、全世界株式)」や米S&P500株価指数に連動するインデックスファンドが流行だが、SNS(ネット交流サービス)の書き込みで飛びついた人は株価が暴落した途端、投げ出してしまうかもしれない。
一方、自分がその企業やファンドの姿勢について共感しているなら下落しても怖くはないし、場合によっては安くなったので買い増ししたくなるかもしれない。特定の指数に連動するインデックスファンドも悪くはないが、自分が共感できる投資先を見つけることが長く続けられるコツだ。長く続けないと投資の効果は出ない。
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ではどのように共感できる企業を見つけるのか。国内では約3900社が上場しているが、コモンズ投信では収益力、競争力、経営力、対話力、企業文化──の五つの評価軸で、企業を「30年目線」で評価している。30年先をイメージしながら外部環境の変化を超えられる強い企業を選定すると130〜140社に絞られ、さらに30社を厳選している(現在29社)。
これは30年先の業績を予想する、という意味ではない。30年という一つの世代が代わっても輝き続けるような会社に投資するということだ。この間に…
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週刊エコノミスト
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