基礎からわかる金利のQ&A 上野泰也
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「経済の体温計」ともいわれ、景気の先行きを反映する金利。基礎から応用まで解説する。
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Q1 そもそも金利とは何か?
A 私たちは、お金を商品やサービスを売り買いするための決済手段として使っている。しかし、手元にお金がなければ他人から借りる必要がある。お金を返す際は貸してくれたお礼を上乗せして支払う。これが金利だ。つまり、金利とはお金の「貸借料」に当たる。
「金利」で一番身近な例は住宅ローンだろう。数千万円かかるマイホームでも、金利を払ってお金を借りる仕組みを使えば、手に入れることができる。お金を借りる手段があるからこそ、私たちは高価なモノやサービスを手に入れて豊かな暮らしを送ることができる。金利は私たちの生活に欠かせない仕組みであると同時に、経済を活性化させていくツールの一つでもある。
金利は好景気と不景気の循環に左右されるが、景気の行きすぎにストップをかける「スタビライザー(安定化装置)」の役割も同時に果たしている。
景気が良くなりすぎると、モノの値段が上がって経済が過熱するインフレを招く可能性がある。金利も同時に上がるため、企業のもうけは減り、個人消費も減ってだんだん景気が悪くなる。つまり金利上昇が景気にブレーキをかけてインフレを防いでいる。
一方、景気が悪くなれば金利も同時に下がるため、企業の設備投資や個人消費にお金が回りやすくなり、だんだん景気が回復してくる。つまり金利低下が景気のアクセルになる。
Q2 金利上昇が生活に与える影響は?
A 預貯金などの金融商品については、固定金利か変動金利かで運用成績が大きく変わり得る。固定金利は最初から最後までフィックスされ、変わらない。定期預金や固定型の個人向け国債などがある。一方、変動金利は一定期間ごとに金利が見直される。
金利が上がれば、定期的に利率が見直される「変動金利型」の金融商品の利率も上がるので、それを買っている人は得をする。例えば、個人向け国債でも、金利の動きに応じて半年ごとに利率が見直される「変動10年」などの商品がある。金利が上がるほど受け取る利子は増えることになる。
若い人には信じられないかもしれないが、1990年代前半には、定期預金金利が2%以上、10年物国債の利回りが5%という時代もあった。定期預金に資産を預けっぱなしにしている高齢者にとっては、こうしたバブル期には…
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週刊エコノミスト
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