《東京市場》中国の金融緩和で関連株上がるも持続するか疑問 芳賀沼千里
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中国人民銀行が預金準備率と政策金利の引き下げを中心とする異例の金融緩和、不動産テコ入れ策、株価対策を発表した。景気刺激策を受けて中国株が急反発し、為替市場では人民元が買われた。東京市場でも機械や化粧品など中国関連株が上昇した。
ただし、中国経済は過剰な生産設備、不動産市況の低迷、若年層の雇用悪化などデフレに陥った1990年代の日本との類似点が目立つ。当時、日本では金融緩和が期待通りに効果を上げられず、超低金利が長期化した。潜在的な需要が存在すれば、金融緩和策が機能するが、企業や家計が萎縮している場合、経済活動を浮揚できるかは疑わしい。日本の経験を踏まえると、企業収益が伸びない限り、需給関係の改善を狙う対策は株価上昇を持続できないだろう。
更に、中国の不動産市場の軟着陸シナリオは要注意だ。政府の影響力が強く、金融危機が起こる可能性が低いとしても、住宅を中心として不動産の需要は構造的に弱い。人口減少と少子高齢化が進み、今後10年間、住宅購入の実需層といわれる30~34歳の人口が大幅に減少する。非金融部門の債務残高は依然として高水準である。前受け金を前提とする不動産取引慣行は破綻している。不動産の場合、価格が大きく下落しない限り、新し…
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週刊エコノミスト
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