経済・企業 書評

経産省は前大臣の置き土産「全国書店ヒアリング」を生かせるか 永江朗

 経済産業省は10月4日、「関係者から指摘された書店活性化のための課題(案)」を公表した。同省の書店振興プロジェクトチームがヒアリングした内容を整理したもの。同省のサイトで読むことができる。

「粗利率を抑制する流通慣行(粗利率と小売価格)」「再販売価格維持制度によりコスト転嫁が困難」「委託制度による返品率の高さ・適正配本の必要性」「書店規模を優先した配本」「書店における注文書籍の到着の遅れ」など、ほとんどが何十年も前から業界内で言われていたことである。むしろ問題の本質は、これらが何十年も解決されなかったことにあるのではないだろうか。

「課題(案)」は、それが直ちに具体的な施策に結びつくものではない。経産省は11月4日までパブリックコメントを募集している。「その結果を踏まえて、政府及び民間の関係者でシェアし、今後の対応を検討していく」と「課題(案)」は結ばれている。課題が広く一般にも共有されるのはいいことだ。

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