経済・企業 カレーライス物価
カレーライスは“高級メニュー”! 今夏は過去10年で最高値更新 飯島大介
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スーパーでは、昨年より2~3割増しの野菜や果物が並ぶのも珍しくない。消費者物価指数(CPI)の2%上昇と聞いてもピンと来にくいが、カレーライス物価を見てみると──?!
13カ月連続でカレーライス1食300円台
「カレーライス物価」なる言葉を聞いたことがあるだろうか。食材や水道光熱費など、カレーライス1食当たりにかかる全コストを帝国データバンクが独自に算出した経済指標で、今夏は最高値を更新し続けている(図1、2)。
物価の動向を示す経済指標としては総務省が毎月発表する「消費者物価指数(CPI)」が代表的だ。昨今は前年同月比で2%台での上昇が続くが、「体感より低すぎる」と感じる声が消費者から出始めている。
食品スーパーに行けば、その答えは明白だ。昨年から2~3割上昇した値札を付ける野菜や果物が陳列棚に並ぶ光景は珍しくない。帝国データバンクの調査では、今年10月は飲食料品全体で2911品目が値上げの対象で、平均すると16%前後の値上げだ。生鮮食品を除く総合指数が前年比2.8%上昇した、と言われ「もっと上がっている」と思うのも無理はない。こうしたマクロ経済と家庭の「物価感覚のズレ」を埋める物価指数。それが、独自算出の「カレーライス物価」だ。
「1食分の調理」コスト
カレーライス物価は、「具材」「ルー」「ライス」「水道光熱費」で構成される。前提とする条件は緻密だ。調理シーンは大鍋1個分、大手食品メーカーが販売する「カレールー」半箱分(トレー一つ)、6人前をまとめて調理する場面とした。カレーの「具材」は、ジャガイモ・ニンジン・タマネギに加え、輸入牛肉を6人分の量で設定している。
炒める際の食用油、強火・弱火時の都市ガス代も加味した。カレーに欠かせない「ライス」は、コシヒカリを1人前200グラム、合計約7合分を一度に炊飯した場合と定義。もちろん、家庭によってはご飯だけを先に炊き、おのおののタイミングでよそうシーンもあるだろう。そのため、電気代は炊飯時+最大6時間の保温時間も加味している。
このように、家庭料理の代表格で、「食材を買う」「炊く」「炒める」「煮込む」との調理工程を網羅するカレーライスは、原材料や光熱費を含めた食卓の経済状況を表す重要な指標の一つとして、このところ認知されるようになった。
筆者もこの物価指標が正しいかどうか、スーパーで食材をイチから買いそろえ、実際に調理して…
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週刊エコノミスト
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