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経済・企業 セブン・ショック

外資によるセブン買収がはらむリスクを考える 鈴木孝之

 グループ内で唯一創業家に進言できたはずの実力者の罪と罰──。

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「約6兆円とは! 安すぎる!」──。セブン&アイ・ホールディングスに対するカナダの流通大手アリマンタシォン・クシュタールの買収提案額への私の直感だ。

 しかし、そんな割安な状態に放置しているセブン&アイにも問題がある。一番の責任は中核会社のセブン-イレブン・ジャパンを世界最強のコンビニエンスストアに育て上げた鈴木敏文名誉顧問にある。

 なぜ、もっと早くお荷物だったイトーヨーカ堂はじめGMS(総合スーパー)やSM(スーパーマーケット)事業を切り離さなかったのか。

 アクティビストに要求されて昨年売却したそごう・西武の百貨店事業の判断も遅すぎた。世界に類を見ないネットワークを日本全国に構築したコンビニ(セブン-イレブン)に経営資源を集中させていたなら、株式市場の評価はもっと高かったはずだ。

 祖業のGMSやSMを切り離す決断を創業家に迫れたのは鈴木氏しかいなかった。それをしないまま鈴木氏は2016年に退任。昨年には創業者の伊藤雅俊名誉会長も亡くなり、重しがとれたセブンはクシュタールの格好の標的になったと思う。

 では、クシュタールによるセブン買収は成就するのか。私は非常に難しいと考えている。傘下にあるコンビニ事業はいまや単なる小売業にとどまらない。日々の食品や食材、弁当を提供するだけでなく、行政サービスの一端を担い、金融機能を持つ。社会インフラとして定着している。さらに今後、高齢化が急速に進む日本で、地域の介護の拠点となり得る有力なインフラだ。

 つまり、もはや一企業としてではなく、地域の重要インフラとなっているセブンを日本政府は資本の論理に委ねるだろうか。

三井物産の出資は疑問

 加えて言えば、仮にクシュタールが買収に成功しても、独自に磨き上げたセブン-イレブンのノウハウを引き継ぎ、スムーズに運…

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週刊エコノミスト

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