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経済・企業 日立・ソニー・パナソニック復権の道のり

インタビュー「トップが自社を再定義できた日立とソニー」入山章栄・早稲田大学ビジネススクール教授

入山章栄(いりやま・あきえ) 1996年慶応義塾大学経済学部卒業。98年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所で勤務後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院で博士号。同年からニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。13年早稲田大学ビジネススクール准教授を経て19年から早稲田大学ビジネススクール教授。

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── 日立製作所、ソニーグループ、パナソニックホールディングスの経営状況をどうみているか。

■答えは極めてシンプルで、経営者次第だ。企業経営は、経営者と経営者を支える幹部に社外取締役を加えた経営チームの力量で勝負はほぼ決まる。特に3社のような複数の事業領域を手掛ける大企業はポートフォリオ経営が必須だ。経営者が長期的な戦略のもとで事業構成を組み替えられるかどうかが勝負を左右する。

── 日立とソニーは、株式市場の中でも高く評価されている。

■両社の復活は、近代的な経営を始めたことに尽きる。日立は川村隆さん(元社長兼会長)がまず会社のビジョンを掲げて長期的な戦略を打ち出した。未来のない不採算事業は売却して、未来のある事業に投資した。経営者には未来を見通す力が必要だ。川村さんは「社会イノベーションの会社」というビジョンを掲げ中長期的な経営に手を打った。ポイントはその間に事業売却を多くしたこと。もうひとつのポイントは後継者選びだ。中西宏明さん、東原敏昭さんと方向性が一緒だったため、経営に一貫性があった。

── ソニーの場合はどうだったか。

■ソニーを変えた経営者は平井一夫さん(元社長・会長)だ。彼は就任後の2~3年は経済誌を中心にメディアからたたかれていた。当時、私は米国から帰国したばかりで事情がよく分からなかったが、平井さんは正しい経営をしているように思えた。それは何かといえば、私が強調する「両利きの経営」だ。「知の探索」と「知の深化」がバランス良く高い次元で取れていること。平井さんは、現場に行き新規事業に取り組んでいる社員を「失敗してもいいから」と激励していた。

── 平井氏に対しては、「ものづくりの会社からソフトと金融の会社に変えようとしている」という批判があった。

■私からすると、ものづくりの会社とソニーを定義している時点でおかしい。他のソニーの元幹部が「ソニーはエレキの会社」と述べていたが、…

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