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資源・エネルギー 電力インフラ大投資

ペロブスカイト太陽電池 純国産の再エネ技術に猛追する中国 西村信吾

薄くて軽いのが特徴(ペロブスカイト太陽電池を持つエネコートテクノロジーズの加藤尚哉社長)(共同通信)
薄くて軽いのが特徴(ペロブスカイト太陽電池を持つエネコートテクノロジーズの加藤尚哉社長)(共同通信)

 次世代太陽電池の「本命」とされるペロブスカイト。中国など海外勢も開発を加速しており、日本の優位性を確保できるか問われる。

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 薄くて軽く、柔軟性の高い「ペロブスカイト太陽電池」は、耐荷重の低い屋根や壁など、従来は導入が困難だった場所にも太陽電池を導入できるポテンシャルがあり、エネルギー施設の適地不足を抱える日本にとっては、課題解決を期待できる技術として注目されている。ただ、中国など海外勢を巻き込んだ「主導権争い」も過熱しており、官民一体のスピード感ある取り組みが急務になっている。

 ペロブスカイト太陽電池は、主に軽さや柔軟性に焦点が当てられることが多いが、他にも複数の長所がある。一つは量産時のコストが安価になる可能性が高い点だ。基盤に塗布することで作ることができ、シリコンと異なり高温が必要となる製造プロセスがないことから、シリコン太陽電池よりも将来のコストは下がるとされる。

 もう一つの長所は、レアメタル(希少金属)を使わない点だ。ヨウ素など比較的手に入りやすい素材で作ることができ、資源の奪い合いに陥る可能性が低い。ヨウ素は日本が世界の産出量の3割を占めており、資源が乏しい日本にとっては、珍しく資源保有が強みになる技術という側面もある。

 このように、ペロブスカイト太陽電池はとりわけ日本にとっては有利な技術であることが見て取れる。日本は再生可能エネルギーの適地が少ないという弱点を抱えているが、設置場所の制約が少なくなれば再エネ比率が上がる可能性もある。

 一方、日本は再エネの電源設備などを海外から輸入して作っている以上、エネルギーの「海外依存」から抜け出せていないとの指摘がある。しかし、ペロブスカイト太陽電池の材料となるヨウ素は国内での確保が容易で、まさに「純国産」の再エネと呼ぶこともできる。

積水化学、東芝など

 政府もペロブスカイト太陽電池に注目している。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金に基づいて、予算498億円の「次世代型太陽電池の開発プロジェクト」を設立し、複数の企業の製造技術開発を支援している。2023年にはさらに150億円の予算を積み増しており、大型化や発電コストの向上などを目指す実証事業などの本格化を進める。

 この技術が「日本生まれ」であることも重要だ。桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授(東京大学先端科学技術研究センター・フェロー)が09年、世界で初めてペロブスカイト結晶を太陽電池に応用し、その歴史が始まった。こうした背景もあり、ペロブスカイト太陽電池の技術開発は日本企業が先行しており、積水化学工業や東芝エネルギーシステムズなどが実用化を目指している(表)。

 このほか、さまざまな側面で研究開発が進められており、最近では産業技術総合研究所が10月、世界初の自動製造システムを開発したと…

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