反トランプのワシントニアンがアメフトチーム「コマンダーズ」に熱視線を送るワケ 清水梨江子
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先日、連邦議会で仕事を始めたばかりの友人が、「ワシントンDCで働くことは、有能でないといけないのはもちろん、常にネットフリックスで評判のドラマや映画、それにフットボールの話題についていけないとダメなんだということがよく分かった」と語っていた。アメリカンフットボールは米国で最も人気のあるスポーツであり、長年「米国の娯楽」となっている。米国では近年、各所で政治的分断が加速しているといわれるが、その分断を長きにわたり超越してきたものの一つが、地元フットボールチームへの愛着であり、あいさつ代わりにフットボールの話題でコミュニケーションを図ることは、ワシントンでも定石となっている。
米国でフットボールに絡んで動く金は大きく、2021年に米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)が販売したフットボールの放映権は、11年間で1110億ドル(約17兆円)にも上った。ワシントンの郊外には、NFLチーム「ワシントン・コマンダーズ」が本拠地を構えているが、ここでもフットボールを巡って巨額の金が動いている。コマンダーズは、前のオーナーのチーム内でのハラスメントなどがNFLやファンの間で問題視され、23年7月に60億5000万ドル(約8460億円)で新オーナーに売却された。これは、NFL史上最高の売却額となっている。
新オーナーは、老朽化が進むスタジアムは建て替えが必要と語っており、ワシントンのバウザー市長は、北部に隣接するメリーランド州にあるコマンダーズを、この機に再びワシントンに呼び戻したいと願っている。新しいスタジアムの建設費用は推定で10億ドル(約1500億円)と見積もられており、このような…
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週刊エコノミスト
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