震度とは? 最大「7」は能登半島地震で7回目/203
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地震が起きた時に気象庁から発表される「震度」は、ある場所でどのくらい地面が揺れるかを表したものである。前回解説した地震の規模を示すマグニチュード(M)は地震に対して一つの値しかないが、震度は場所によって変わる。すなわち、Mが大きくても震源地から離れていれば震度は小さくなり、Mが小さくても震源地から近ければ震度は大きくなる。
震度は「震度階級」という尺度で表される。以前は揺れの強さを人の感覚や家屋が壊れる被害の程度から目視で定めていたが、1996年から機械的に測る震度計によって決定されるようになった。現在、気象庁の震度計は全国約600カ所に設置されている。
かつては震度の階級は0~7までの8段階だったが、95年の阪神・淡路大震災で同じ震度でも被害の地域差が大きかったので、震度5と6を強弱の二つに分けて10段階で表すようになった(表1)。また、「強震」や「弱震」といった名称もなくなった。ちなみに、最大の震度7は今年1月の能登半島地震まで過去7回観測され、いずれも大災害をもたらしている(表2)。
震度7の被害状況は震度6強とは大きく異なる。震度7では、人は大揺れに翻弄(ほんろう)され、自分の意思で行動できない。固定していない家具は激しく動き回り、空中を飛んで壁に激突するものもある。屋外では建物の看板や窓ガラスが破損して落下する事故が多発する。耐震補強のない木造住宅の多くは10秒ほどで倒壊する。
「共振」による被害も
遠方で大きな地震が起きた場合には、タワーマンションなど高層建築物が特定の周期の地震波に共振する「長周期地震動」による被害が起きる(本連載の第143回を参照)。さらに、2011年の東日本大震災では、揺れに共振した千葉県市原市のLPG(液化石油ガス)タンクでスロッシング(タンク内溶液の液面が大きく揺れる現象)が起こり、火災を誘発した。
2030年代に発生が予測されている南…
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週刊エコノミスト
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