新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 鎌田浩毅の役に立つ地学

震度とは? 最大「7」は能登半島地震で7回目/203

能登半島地震で隆起した磯に舞う波の花。岩の白い部分は地震前まで海面下だった(石川県輪島市の黒島漁港で2024年11月28日)
能登半島地震で隆起した磯に舞う波の花。岩の白い部分は地震前まで海面下だった(石川県輪島市の黒島漁港で2024年11月28日)

 地震が起きた時に気象庁から発表される「震度」は、ある場所でどのくらい地面が揺れるかを表したものである。前回解説した地震の規模を示すマグニチュード(M)は地震に対して一つの値しかないが、震度は場所によって変わる。すなわち、Mが大きくても震源地から離れていれば震度は小さくなり、Mが小さくても震源地から近ければ震度は大きくなる。

 震度は「震度階級」という尺度で表される。以前は揺れの強さを人の感覚や家屋が壊れる被害の程度から目視で定めていたが、1996年から機械的に測る震度計によって決定されるようになった。現在、気象庁の震度計は全国約600カ所に設置されている。

 かつては震度の階級は0~7までの8段階だったが、95年の阪神・淡路大震災で同じ震度でも被害の地域差が大きかったので、震度5と6を強弱の二つに分けて10段階で表すようになった(表1)。また、「強震」や「弱震」といった名称もなくなった。ちなみに、最大の震度7は今年1月の能登半島地震まで過去7回観測され、いずれも大災害をもたらしている(表2)。

 震度7の被害状況は震度6強とは大きく異なる。震度7では、人は大揺れに翻弄(ほんろう)され、自分の意思で行動できない。固定していない家具は激しく動き回り、空中を飛んで壁に激突するものもある。屋外では建物の看板や窓ガラスが破損して落下する事故が多発する。耐震補強のない木造住宅の多くは10秒ほどで倒壊する。

「共振」による被害も

 遠方で大きな地震が起きた場合には、タワーマンションなど高層建築物が特定の周期の地震波に共振する「長周期地震動」による被害が起きる(本連載の第143回を参照)。さらに、2011年の東日本大震災では、揺れに共振した千葉県市原市のLPG(液化石油ガス)タンクでスロッシング(タンク内溶液の液面が大きく揺れる現象)が起こり、火災を誘発した。

 2030年代に発生が予測されている南…

残り597文字(全文1397文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月10日・17日合併号

2025年に上がる株16 トランプ旋風は日本にチャンス 年末に日経平均4万3000円■谷道健太19 トランプ氏は防衛、金融に追い風 日経平均は4.6万円以上目指す■広木隆20 政治関連銘柄 トランプ政策で資源に強い三井物産 「103万円の壁」関連でタイミー■天海源一郎22 日本のトランプ銘柄 スズキ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事