新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 鎌田浩毅の役に立つ地学

マグニチュード「1」大きいと地震のエネルギーは32倍/202

能登半島地震(M7.6)の後、石川県珠洲市北部で最大2メートル程度の隆起が検出された。消波ブロックの白く見える部分や砂浜は地震の前まで海面の下に隠れていた(2024年7月30日)
能登半島地震(M7.6)の後、石川県珠洲市北部で最大2メートル程度の隆起が検出された。消波ブロックの白く見える部分や砂浜は地震の前まで海面の下に隠れていた(2024年7月30日)

 地震の強さを表す指標の一つに「マグニチュード」(「M」と略記)がある。地下で発生するエネルギーの大きさを表す単位であり、数字が0.2大きくなるとエネルギーは約2倍、1大きくなるとエネルギーは約32倍、2大きくなると1000倍まで増加する。

 マグニチュードはエネルギーを1000の平方根を底とした対数で表したもので、桁の大きく違う量を簡単にイメージできるように地学ではよく用いられる。このマグニチュードは、米国の地震学者チャールズ・リヒターが1935年に提唱したため、「リヒタースケール」とも呼ばれる。

 ちなみに、広島型の原子爆弾(20キロトン)の放出エネルギーはM6.1に相当する。2011年の東日本大震災(M9.0)は、1923年の関東大震災(M7.9)の約50倍、また95年の阪神・淡路大震災(M7.3)の約1400倍にもなる。

気象庁とモーメント

 日本では、気象庁が震源から100キロメートル離れた標準的な地震計の針が揺れた最大値からマグニチュードを求めており、M7以上を「大地震」と呼んでいる。これは、「気象庁マグニチュード」(「Mj」と書く)と呼ばれている値だが、こうした方法で実際に地震を測ると最大M8.5くらいで頭打ちになり、それより大きな地震は計測できない。

 そこで、巨大な地震も測ることが可能な「モーメントマグニチュード」(「Mw」と書く)が併用されるようになった。1979年に米カリフォルニア工科大学の金森博雄教授によって提唱され、断層の面積(長さ×幅)とずれた量などから算出する。巨大地震のエネルギーを正確に見積もることが可能となるため、国際的に広く用いられている。

 巨大地震では気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュードのギャップがしばしば大きくなる。例えば、60年に起きた南米チリ南西沖を震源とする世界最大のチリ地震は、気象庁マグニチュードではM8.3、モーメントマグニ…

残り479文字(全文1279文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月10日・17日合併号

2025年に上がる株16 トランプ旋風は日本にチャンス 年末に日経平均4万3000円■谷道健太19 トランプ氏は防衛、金融に追い風 日経平均は4.6万円以上目指す■広木隆20 政治関連銘柄 トランプ政策で資源に強い三井物産 「103万円の壁」関連でタイミー■天海源一郎22 日本のトランプ銘柄 スズキ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事