マグニチュード「1」大きいと地震のエネルギーは32倍/202
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地震の強さを表す指標の一つに「マグニチュード」(「M」と略記)がある。地下で発生するエネルギーの大きさを表す単位であり、数字が0.2大きくなるとエネルギーは約2倍、1大きくなるとエネルギーは約32倍、2大きくなると1000倍まで増加する。
マグニチュードはエネルギーを1000の平方根を底とした対数で表したもので、桁の大きく違う量を簡単にイメージできるように地学ではよく用いられる。このマグニチュードは、米国の地震学者チャールズ・リヒターが1935年に提唱したため、「リヒタースケール」とも呼ばれる。
ちなみに、広島型の原子爆弾(20キロトン)の放出エネルギーはM6.1に相当する。2011年の東日本大震災(M9.0)は、1923年の関東大震災(M7.9)の約50倍、また95年の阪神・淡路大震災(M7.3)の約1400倍にもなる。
気象庁とモーメント
日本では、気象庁が震源から100キロメートル離れた標準的な地震計の針が揺れた最大値からマグニチュードを求めており、M7以上を「大地震」と呼んでいる。これは、「気象庁マグニチュード」(「Mj」と書く)と呼ばれている値だが、こうした方法で実際に地震を測ると最大M8.5くらいで頭打ちになり、それより大きな地震は計測できない。
そこで、巨大な地震も測ることが可能な「モーメントマグニチュード」(「Mw」と書く)が併用されるようになった。1979年に米カリフォルニア工科大学の金森博雄教授によって提唱され、断層の面積(長さ×幅)とずれた量などから算出する。巨大地震のエネルギーを正確に見積もることが可能となるため、国際的に広く用いられている。
巨大地震では気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュードのギャップがしばしば大きくなる。例えば、60年に起きた南米チリ南西沖を震源とする世界最大のチリ地震は、気象庁マグニチュードではM8.3、モーメントマグニ…
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週刊エコノミスト
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