インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ ホリデイ・インなど米州中心に好調な英企業 宮川淳子
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Intercontinental Hotels Group, PLC 良好な業績 投資活発化/135
インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(以下IHG)は、2024年9月末時点で世界各地の6505軒のホテルにブランド使用権を供与、または自ら経営・所有する英国の企業だ。売上高ベースで、米マリオット・インターナショナルと米ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスに次いで世界第3位となる。IHGのホテルは、米パンアメリカン航空(1991年に経営破綻)の創業者ファン・トリップ氏が、フライトを終えた旅行者に豪華な宿泊施設を提供したいという発想から始まった。54年にIHGの「ホリデイ・イン」が、ホテルのブランド使用権を第三者に供与するフランチャイズ方式を導入して業界の先駆けとなり、現在は全客室の71%がフランチャイズ方式で運営されている。
2024年11月13日付の投資家向け資料で、IHGは積極的な成長戦略を打ち出している。今後数年で、現在のホテル数の34%増の2200軒以上を追加展開する計画だ。15年以降に「リージェント」や「キンプトン」などの高級かつ個性的な9ブランドを獲得しており、現在のブランド数は19。ただし、業界上位2社に比べるとまだ少ないため、買収や提携をより積極化する方針だ。IHGの新規客室供給シェアは現在約4%で、今後は10%程度まで引き上げる見通しだ。
IHGの現在のホテル・ポートフォリオは、カテゴリー別や地域別でみても、適度に分散している。客室数は24年9月末の客室システム管理ベースで96.8万室あるが、カテゴリー別内訳は「インターコンチネンタル」などの“ラグジュアリー”が14%、中国系向けの「フアルクセ」を含む“プレミアム”が15%、「ホリデイ・イン」などの適度な快適性をもつ中級の“エッセンシャルズ”が60%、“スイート”が8%で、需要の多いエッセンシャルズ中心の構成だ。
世界に分散
地域別では、北米・中南米が54%、欧州・中東・アフリカが27%、中国・香港・シンガポール・台湾の中華圏が19%で、地理的なバランスはとれているものの、ラグジュアリーやプレミアムのホテル数が多い米州の比率がマリオットやヒルトンと比べて低いため、IHGの収益性はやや見劣りする。今後の新規開業計画では、各地域が3分の1ずつ、ほぼ均等に増える予定で、収益性の差はすぐには縮まらない。また、中国経済の見通しが厳しいため、中華圏への新規投資には懐疑的な見方もある。しかし、IHGのマルーフ最高経営責任者(CEO)は、24年4月の国際会議で、「今後10年間、中国の人口が増加しなくても…
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週刊エコノミスト
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